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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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No.296
2012/02/26 (Sun) 00:02:16

久し振りの更新なんですが…。
もう、こんな薄暗い話でゴメンナサイな状態です;;

今回のお話は行灯が好きすぎてヤンデレな速水のお話です。
私のヤンデレの解釈があってるかどうか分かりませんが、薄暗い話には変わりないし…。
なので、そういうお話が苦手な方はスルーして下さいませ。

あ、暴力的な表現は無いのでその点はご安心を。

拍手[13回]



愛情、紙一重


俺と速水が一緒に暮らし始めてからそろそろ3ヶ月。
互いの生活サイクルは合ったり、合わなかったり。それはいつもの事だから仲はまずまず順調だ。
そして絆は深まっている…と思っていた。
しかし唐突に俺は感じてしまった。何がきっかけかなんて、口では言い表せない。
愛されている―――それは解っている。
でも、速水の笑顔の向こう側に『何か』を感じ取ってしまった。

「なあ、速水。隣ってちょっとうるさいと思わないか?」
どんな人が住んでるのか知らないが、四六時中室内から音がして、ひどい時は朝っぱらから音楽が流れる。
「俺達は一日中いるわけじゃないからまだいいが…」
やはり速水も気になってたらしい。
「休みとかは嫌だよな。」
速水は生活が不規則だから、家にいる時くらいはしっかり休みたいだろうし…と考えてオレが何気なく不満を漏らしたら、速水も「…そうだな」と雑誌を読みながら同意してくれた。

その二日後。隣の住人はいなくなった。
「どうしたんだ?」
仕事から帰って来たらすでにいなかった。後で帰って来た速水に聞いてもも知らないと言う。
「でも、これで静かになったからいいだろ。…ゆっくり眠れるな。」
晴れやかに言われて、俺も頷いた。


俺達の住むマンションの向かいにコンビニが出来た。
非常に便利なのだが、最近ここにタチの悪そうな若者がたむろすようになった。
仕事帰りなどにかち合うこともあって、不愉快だ。以前絡まれそうになって、慌ててマンションに飛び込んだこともあった。
「まったく迷惑だっ!!」
憤懣やるせない俺を、速水は苦笑しながら慰める。
「大丈夫、なんとかなるって。」
「何だよ、その根拠は?」
「あんなの、すぐにいなくなるさ。」
速水はまだ笑いながら俺の顔を眺めていた。

そして三日後…アイツらはいなくなった。
「……。」
速水が言った通り、静寂と平和が戻ったのだ。
「良かったじゃないか、行灯。」
「え?…あ、うん……」
速水はまた笑っていた。

………あれ? 俺、今何を考えた?
まさ、か……な? そんなバカな事、あるはずない。
きっと店が警察に通報したんだ。そうだよな、そうに違いない。
―――俺はそう思い込もうと、必死に記憶をすり替えた。


俺はある日、まだ年若い看護師に告白された。どうも冗談ではないらしい。
彼女は何度も患者の付き添いで俺の外来にやって来る子で、藤原さんにも好感度が高いなかなか礼儀正しいきちんとした子だ。
しかしお付き合いは困る。年の差も気になるが…俺には速水がいる。彼女なんて作れるわけがない。
最初はやんわりと断っていたのだが、最近では縋るような視線が気になる。こんな場合、女性をどう振っていいのかわからない自分が情けなくなる。
「…ああ、もう参ったな。」
俺は思わず愚痴ってしまった…速水の前で。

「行灯、その女が嫌いなのか?」
「え?」
「邪魔なのか?」

もし俺が一言、「邪魔だ」と言ったら彼女は消えるのか?
うるさかった隣みたいに… 迷惑だった不良達みたいに……

「……邪魔ではないけど…困ってる、かな?」

俺は一応言葉を慎重に選びながら多大な不安と…ほんの僅かな期待を込めて答えた。
速水はいつもの笑顔で近づいて、俺を抱きしめた。
「俺が好きなのは…速水だけだから。告白されても……俺は困る。」
そう呟くと彼は嬉しそうに、そして幸せそうに俺の名前を呼んだ。

一週間後、例の彼女が担当している患者の診察日になった。しかし患者を連れて来たのは彼女ではなかった。
診察後、何気なく藤原さんに聞いてみた。
「今日は彼女じゃないんですね?」
「先生、それが……」
藤原さんも困惑したような表情で今来た看護師の話を聞かせてくれた。

彼女はつい先日病院を辞めていた。
一応表向きは一身上の都合ということだが、本当は病棟での投薬ミスが発覚したらしい。幸い患者の命に関わるような事にはならなかったらしいが、揉め事を収める為に彼女が犠牲になった、と言う噂が立っているらしい。
―――俺は一瞬、背筋が寒くなった。


仕事を終えて帰ろうとすると珍しく速水も一緒の上がりになった。
こんな偶然は滅多にないので、二人で買い物をして肩を並べて家路につく。人通りの少ない道を、速水は俺の空いている片手を取って歩いて行く。少し気恥ずかしいけれど、嫌ではなかった。
「そう言えば…俺に告白した彼女、病院を辞めたんだと。」
「へぇ…そうなんだ。でもこれでもうお前も困らないな。」
「……うん。」

「良かったじゃないか、行灯。」
夕日で逆光なのに、速水の笑顔が何故かはっきりと見えたような気がした。

ああ…またあの笑顔。繋いだ手がヒヤリとした。
速水は俺が喜ぶならば人も世界も容易く壊すだろう。
止めないと… 止めないといけない。



「…うん、嬉しいよ。」



ああ…俺は…俺達は……地獄に堕ちるんだろうな。


ほら…繋いだ手はもう温かい。
 


速水の愛情は純粋すぎて…行き過ぎると怖いんです。
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首都圏に棲む主腐…もとい主婦。家庭内における肩身の狭い『隠れ同人』。
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