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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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No.153
2010/12/25 (Sat) 08:55:58

勢いだけで作ったこのサイトも、目出度いことにクリスマス当日で半年です!
萌えの勢いの凄まじさを改めて実感しております(笑)。
続けられたのも通ってくださったり、コメントを残してくださったりする皆さまのおかげ。ありがとうございます!!
これからも出来る限り続けたいと思っています。

さて。
半年記念…ということじゃないけれど、突発的に萌え上がったネタを投下しておきます。
まさかの医務官! クリスマスにまさかです(笑)。
いや、先日某ライブに行った時に聞いた曲が医務官を思い起こさせて。
ライブ中に書きたくなってしょうがなかった(苦笑)。

・Love要素はありません。
・「モルフェウス…」と「緑剥樹…」が関連してます。(ネタバレ的な部分もアリ)
・手元に「緑剥樹…」が無いので(図書館で読んだから)、ちょっと間違った表現があるかもしれません。ごめんなさい;;

以上、クリア出来て興味のある方はどうぞw


拍手パチパチ、ありがとうございますvv

拍手[4回]



Pride

混乱した群衆が声を上げながら走り、右往左往している。
遠くで聞こえる銃声と悲鳴。怒号と喧噪がさらに混乱に拍車を掛けた。
街角では親とはぐれた子供が泣き叫んでいる。怪我をして動揺のあまり竦んでしまっている子供もいた。

―――どんな時でも泣くのは弱者だ。
彼は心で権力者達を罵倒しながら、怪我をした子供に近付いた。
おびえた子供が身を固くし泣き始めるが、彼は構わず最低限の処置を施す。幸い腕の裂傷だけなので逃げるのに問題は無い。
彼は処置を終えると近くで泣いている子供を数人集め、まとめて安全な方向へ誘導してやる。

そんな事を何度繰り返しただろう。
やがて太陽が傾き、地平線の向こうへ去ろうとしていた。


彼が疲れ果て、住民が逃げ出した民家にゆらりと入った時には夜の帳が落ちていた。
混乱に乗じた略奪も行われ、この家も荒れ放題になっている。
そして昼間の喧噪は収まったが至る所で不穏な気配が漂い、時折夜の静寂に銃声が轟く。
―――…ったく。医者の目の前でよくも簡単に死傷者の山を作ってくれるもんだぜ。
たった一人である無力を感じ、改めてここが戦場であることを思い知らされる。
疲れた身体を壁に預けると、そのまま尻餅を着くようにずるずると座り込んだ。自分で思っているよりも疲労が蓄積されているらしく、一度座ってしまうと立ち上がるのも億劫だった。
そのまま足を投げ出し、大きく息を吐く。

そして何気なく見た窓の外には……
地上の悲惨な光景とは正反対の美しい満天の星空。
彼はぼんやりとそれを眺め続けた。

ふと思い出した顔がある。
だいぶ以前に領事館の図書室で出会った少女。
静謐に瞬く星は、物静かだったあの少女を思い起こさせた。
どうしているだろうか?自分の与えた知識はあの少女の役に立っているだろうか?
一人を思い出すと何人かの顔が浮かんで来た。

―――手術中に血を浴びて卒倒した学生もいたっけ。
ここが戦場ということを一瞬忘れて、小さく笑ってしまった。アイツはこんなところは似合わない。
名は思い出せないが、ムンテラに文句を付けた時の強く悔しそうな瞳は忘れてはいない。自分の理想をはっきりと言った、一見ひ弱にだがなかなか強情なヤツだった。

そして…自分の中に一番深い痕を残したひよっこの若造。
その名前は心の奥深くに止めておく。何故か今は口にしてはいけない気がした。
すべてにおいて真っ直ぐで純粋なヤツだ。
医療に対しても… 自分に対しても……
その情熱に絆されて、自分でも驚いたことに関係さえ持ってしまった。
それも病院を飛び出した事によって終わってしまったが…。
あの感情が恋だとか愛だとかだったなんて解らない。
もしかしたら…純粋に邁進する姿が羨ましかったのかもしれない。
そう思ったら自然と苦笑がこぼれてしまった。

―――ああ…みんな似てるかもな。
ひとりひとりは違う個性だが、共通点はある。

――…一本芯の通った強情で真っ直ぐな奴ら。

自分がひねくれている自覚がある彼は納得した。
やっぱり正反対の彼らに惹かれていたのだ、と。

あいつらは何をしているだろう。
自分の信じた道をまっすぐに歩き続けているのだろうか?
俺は…?
今の俺はあいつらに自分の道を胸を張って示せるのか?

じっと座り続けていると、睡魔が忍び寄って来る。
目の前に粗末な汚れたベッドがあるが、そこまで這う気力も無かった。
地べたにそのまま横たわれば、自然と瞼が落ちて。
そのまま垂直的に眠りに落ちて行った。




彼が次に目覚めたのは夜明け。ちょうど朝日が顔を出した頃だった。
地面で寝ていたせいか身体のあちこちが痛いが、深い眠りのおかげで気分はすっきりとしていた。
立ち上がりひとつ大きな伸びをして窓から外を見た。

昇ったばかりの太陽が自分のいる世界を照らし出す。
明るく眩しかった。
日の光が温かかった。
生まれて初めて、この世界をハッキリと見たような気がした。


『生きる』


その一言が不意に浮かんだ。
その言葉がどんどん己の思いを引きずり出す。

生きて……
生きて、生きて、生きて、生き抜いてやれ!
己の誇りを胸に掲げて、信じた道を真っ直ぐに突っ走れ。
例え片目を失っても、例え片足を失おうとも。
誇りを…今を生きる誇りと信念だけは捨てずに生き抜いてやる。
生きて…己の名の運命と共に戦おう。


それが俺の人生だ。


朝日に照らし出された彼の顔には、昔を彷彿とさせるふてぶてしいまでの壮絶な笑みが浮かんでいた。

 

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首都圏に棲む主腐…もとい主婦。家庭内における肩身の狭い『隠れ同人』。
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