クリスマスには以前から話していたパラレルを出すので、本日は急に思いついたクリスマスなお話を。
実はパラレルがそんなにクリスマスっぽくない事になっちゃったので、救済ネタっていうウワサも…;;
拍手パチパチ、ありがとうございますw
プチパパノエル
どんなに遠く離れていても、この夜空は繋がっている。
届けこの想い…絆を信じて。
幾度の冬を一人で過ごそうとも、またこの日を二人で過ごす日がきっと来るはず。
聖なる夜に欲しいと願うのは…愛しい人と過ごす温かい時間。
ああ、どうか安らかな時間を与え給え……
田口の手元で携帯の電子音が鳴る。相手は…
『よう、元気か?』
「ああ、変わりないよ。そっちは寒いだろ?」
『極北とはよく言ったもんだ。極寒だぞ!』
速水はからりと笑っていた。
「……。」
『……。』
しばらく言葉も無く、田口はクリスマスの晴れ渡った夜空を見上げた。
「…今日は晴天で空気も澄んでるから、よく星が見えるよ。」
『そうか…こっちも綺麗な星空だ。桜宮とは比べものにならないな。』
「星降るような夜空か…。ロマンチックだな。」
田口は薄く微笑みながら想像してみた。
―――お前と一緒に見たかったな。
その言葉を二人は辛うじて飲み込んでいた。そんな繰り言は言ってはいけない。言ってしまえば今の幸せな会話に水を差してしまう。
『お前…まさか病院の屋上にでもいるんじゃないだろうな?』
「ははっ!さすがに屋上は寒いから、外付け階段から眺めてるよ。」
『ちゃんと防寒しろよ?』
過保護な恋人がここより寒い地で本気で心配しているのがおかしかった。
「そっちこそ…風邪なんか引くなよ?」
『俺はセンター内から眺めてるだけさ。』
「あ、ずるい。」
思わず出てしまった不平に、二人は同時に吹き出してしまった。
『……じゃあな。』
「ああ、また‥な。」
『田口。』
「ん?」
『Marry Christmas……』
速水の深く優しい声で祝福の言葉が紡がれる。田口にとって何よりもの贈り物だった。
「ん……Marry Christmas……」
田口も穏やかな声で、祝福を贈った。
どんなに遠く離れていても、この夜空は繋がっている。
届けこの想い…絆を信じて。
この聖なる夜よ。愛しい人に祝福を……
プチパパノエル=サンタクロースのこと
お互いが祝福を贈るサンタクロース。