今までの書きかけがちょっとシリアスだったりで、この御時世にはあまりそぐわない。
なので思い切ってファンタジー調に走ってみました。
そう、自分がほっこりとしたかった(笑)。
あり得ないくらい馬鹿で、でも可愛いお話にしたいと思ってます。
ちょっとだけの連載……かな?多分2~3話くらいで終わります。
被災していない人達がすべきこと。
・節電
・買いだめをしない。必要な分だけのお買い物。
・風評など情報に惑わされない。
・騒ぎすぎない。そして自粛しすぎない。(これ、大事だと思う!)
なるべく普段通りを心掛けましょう!
と言うことで、お馬鹿な小話の更新でーすww
Little Panic 1
それは神のイタズラか。はたまた悪魔の憂さ晴らしか。
速水が夜明けの愚痴外来に立ち寄ると……
―――田口が分裂して小さくなっていた。
「………。」
間違いなく夢だ!と断定するには自分の意識はハッキリしすぎているし、つねった頬も地味に痛い。
ソファの上には毛布にくるまった体長20センチくらいの田口が3匹、もとい3人。当然だがみんな同じ顔でスヤスヤと眠っている。どれも速水が知っている安心しきった寝顔。小さくなって幼くより可愛らしくなった気がする。
うっかりと鼻の下を伸ばしそうになったが、それどころではない。
「行灯?」
そっと声をかけてもまったく起きない。寝汚いのは小さくなっても変わらないらしい。
「おい、行灯!起きろよ。」
何度か声をかけてやっと身じろぎ3人が起き出し、ぱっちりと目を見開くと一斉に速水を見つめた。
ひとりはあからさまに不機嫌。速水を睨みつけている。
ひとりは真逆で、速水を見るなりご機嫌だ。ニコニコと笑顔を振りまいている。
そしてもうひとりは…目を開けたのもつかの間、すでに半分夢の中に帰ろうとしていた。
確かにどれも田口の反応だ。
どうやら田口の性格がざっくりと3つに分かれて独立しているようだ。
「さて…どうしたもんか。」
ここにずっとこうしているわけにもいかない。かと言って放置していくのも心配だ。藤原が出勤してくるにはまだ時間があるし、その間に誰がここを訪ねてくるかもわからない。
そう悩んでいると足元でクイクイとズボンを引っ張られた。見ると満面笑顔のチビ田口が見上げている。
「どうした?」
深刻な事態なのにその愛らしさについ笑顔がこぼれてしまい、チビ田口を顔の高さまで持ち上げた。
「どうした、行灯?」
「はやみ、おはようww」
ちゅっww
小さな田口は速水の口元に、それこそ小さなキスを落とした。
「…ああ、おはよ」
速水はこれだけ言うのがやっとだった。
朝からこんな積極的な田口は見たこと無い。本当に本人なのかまじまじと見てしまう。が、今度は
「はやみ、だいすき!」
「!!」
と笑顔のまま言われてしまえば、もうどうでもよかった。
「俺も好きだよ、行灯。」
と言い返せば、真っ赤になって恥じらった。これはやはり紛れもなく田口の反応だった。
どうやらこのチビは田口の『デレ』の部分らしい。
すると寝起きが悪くて睨んでいたのは間違いなく『ツン』だ。ソファを見やると毛布に小さな膨らみがひとつ出来ている。中をそっと覗くとツンのチビ田口と目があってまた睨まれた。
「あれ?もうひとり……?」
ちょっと目を離した隙に、さっきまで半寝していたヤツがいない。部屋の中を見回すと…
窓辺にいた。朝日をさんさんと浴びながら、ちゃっかり日差しには背を向けてスヤスヤと眠っていた。
「お前なぁ…寝汚いのも大概にしろよ。」
田口が『ツン』と『デレ』と『寝汚い』で構成されているのかと思うと、ちょっと情けなくなってしまった。
結局速水は藤原が来るまで、3人のチビ田口をオレンジの部長室で一時保護することにした。女傑である彼女ならきっとこの状況も冷静に対処してくれるだろう。
部屋にあった適当な段ボールに毛布を敷き、チビ達を入れてこっそりと運び込んだ。
つづく
着地点が見えないまま続きます。