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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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No.193
2011/03/27 (Sun) 09:44:20

前回ファンタジーと書きましたが、イロモノの間違いですねww

さて、概ね好評だったチビ行灯。調子に乗って2話目です。
ビジュアル的には三頭身にデフォルメされた行灯クンを想像して頂けると、より可愛いと思います^^

拍手パチパチもたくさんありがとうございますw
お返事は二度目日記の方で…

拍手[14回]



Little Panic 2


案の定、藤原は目の前のふざけた現実を並々ならぬ平常心を保って受け入れてくれた。さすが亀の甲より何とやら…とは口が裂けても言えない。
「大丈夫、ちゃんと面倒見ますから。速水先生はご自分の仕事をなさって下さいな。」
「俺も暇を見つけて様子を見に来ますから。」
3人の田口はテーブルの上にちょこんと座って去りゆく速水の顔をじっと見ている。
ツンの田口は無表情だが、その瞳は真剣だ。これは無言で速水を応援する表情に似ている。
ふわふわの田口――寝汚いじゃあんまりなので――は、柔らかい笑顔で見上げている。
そしてデレの田口は……
「はや、み……行っちゃう?」
ちょっとだけ涙目だ。このデレ田口はかなり甘えたらしい。……食ってしまいたいくらい可愛い。
「…すみません、ちょっと失礼。」
速水はそう藤原に断って、デレ田口を摘んで外に出た。

「泣くなよ。」
「らってぇ…さ、みしい……」
別れる時、田口はいつもそう思ってくれているのだろうか?そんな風に自惚れていいのか?
「これから仕事が始まる。俺は戦わなきゃいけないんだ、人の命を削る時間と…。お前なら解るよな?」
小さなデレ田口はきょとんと首を傾げるが、今度はこくんと頷いた。そして笑顔を作ると
「いってらっしゃいw はやみww」
と言って、またキスをしてくれた。本当はキスを返してやりたいが、サイズが違いすぎて本当に食ってしまいそうだ。なので指先で頬を撫でてやった。すると嬉しそうに擦り寄って幸せそうに笑った。
―――やべぇ…メチャメチャ可愛いww
このまま連れて職場に戻りたかったが、それは無理な相談だった。
速水は機嫌の直ったデレ田口を藤原へ託すと、早々に戻って行った。


その日、速水の手が空いたのは昼過ぎだった。当然足は愚痴外来へと向かった。
「あ、速水先生!」
あの藤原が珍しく焦っている。
「どうかしましたか?」
「あの、田口先生がひとりいないの!」
「えっ?!」
先ほど来客があって、ドアを開けたその時にするりと出ていってしまったらしい。
「もう…小さいから気付かなかったわ。」
「どの田口です?」
「あの一番ぼーっとした…」
「ふわふわのヤツか。」
のんびりとしてるクセに意外と抜け目ないのもアイツらしい、とうっかり感心してしまう。
「ごめんなさいね、先生。迂闊だったわ。」
「なに、人を油断させるのはアイツの十八番ですから。」
からりと笑って速水は捜索に出た。

行き先の見当は付いていた。
今日は春めいて暖かく絶好の昼寝日よりだ。アイツの昼寝スポットは大体網羅しているから片っ端から当たればいいだけのこと。
ところが……なかなか見つからない。小さくなっている分、思わぬところに転がっているのかもしれない。もしかしたらまだ部屋の中にいるのかも…とも思ったが、速水の勘はこの陽気からして絶対に外だと告げていた。
大体の場所をひと周りして、速水は病院裏手の日当たりの良いベンチへと戻って来た。ここも田口の昼寝スポットの一つ。今は野良猫が一匹丸くなって田口の代わりに眠っている。
「ま、さか……な?」
そう思いつつも眠っている猫にそっと近付きのぞき込んでみると……
やはり、いた。フカフカの毛並みの中に埋もれるように猫の体を枕に満ち足りた顔で眠っていた。
「ったく……心配させんなよ。」
本当はすぐに摘み上げて文句を並べ立ててやりたいところだが、あまりにも気持ちよさそうに、そして幸せそうな寝顔を見ていると怒る気も殺がれてしまう。速水の顔にも自然と笑みがこぼれる。
しかしそのままにはしておけないので、そっと猫の柔らかい布団の中から摘みだした。
「あーんどん。いい加減起きろ。」
そう言うと、ふわふわ田口は小さくあくびをしてゴシゴシと目をこすって目覚めた。
「もう勝手に出歩くなよ?」
速水がちょっと恐い口調で窘めるが、ふわふわ田口はそれこそふんわりと笑うだけだ。
このあまりにもの手応えの無さには速水も苦笑するしかなく、結局は許してしまうのだった。


このふわふわ田口はかなりの癒し系で、デレ田口とはまた違った意味で愛らしかった。
速水がご満悦だったのは言うまでもない。


つづく
 


ふわふわちゃんは一番つかみ所のない、日だまりのネコタイプ。
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首都圏に棲む主腐…もとい主婦。家庭内における肩身の狭い『隠れ同人』。
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