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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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2025/07/07 (Mon) 03:35:26

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No.198
2011/04/02 (Sat) 14:33:42

たいへん長らくお待たせしてしまいました;;
どうにか仕上がったキリリクSSですw

お題は『学生時代の将軍行灯で、周りがあきれるくらいイチャイチャしてるような二人』とのことでした。
呆れるほどのいちゃつき振り…ってことで、島津と彦根には辛く厳しい試練を与えてしまった気分です(笑)。
今晩、彦根あたりに呪われそうでこわい;;

キリバンゲッターのMさま。ご笑納頂ければ幸いですww

では、いざ続きからどうぞww

拍手[19回]



すずめ達の四季


《春は花見で…》

桜の花見に宴会は付き物だ。
夜に春真っ盛りの公園に行けば、桜の木の下で盛り上がる輩はわんさといる。
その中にすずめ四天王の姿もあった。しかし些か情けない姿が垣間見られる。
「ほーら、行灯!」
「ぅ…うぅ……ん…」
ちょっと浮かれた夜桜見物で深酒してしまった田口があっと言う間に酔いつぶれた。ろくな肴も無いまま飲んだのが悪かったらしい。半分眠りながら唸っている。
「先輩、大丈夫ですか?」
後輩の彦根もそこそこ飲んでいるが、どうやら田口よりは格段に強いらしく顔色すら変えていない。
「仕方ないな。そろそろお開きにするか。」
そこそこ花も雰囲気も楽しんで、残りの面子がほろ酔いの内に切り上げるのが得策だ、と判断した島津が声を上げた。
「ほら、行灯起きろ。帰るぞ。」
速水が田口を揺するがムニャムニャと言うだけで起きる気配はない。横たわる身体に掛けた速水のジャケットをしっかりと被って、幸せそうに寝ている。
―――か、可愛い……
なんて鼻の下を伸ばしている速水を島津は「いいから行灯を起こせっ!」と蹴り跳ばした。
速水は行儀悪く舌打ちをして、それでも帰り支度を始める。
「おい、俺のジャケット返せ。」
「…ぃやぁ…だぁ」
「嫌じゃねぇだろ。俺が寒い!」
4月とはいえ、夜はまだ肌寒い。速水がジャケットを田口から引き剥がそうとすると、寝ているとは思えない力でジャケットを抱え込まれた。
「おまっ!シワになるだろっ!!」
そんな怒号はお構いなしに、田口はジャケットに顔を埋め幸せそうに呟いた。

「はやみのにおい…きもちいいなぁ……だかれてるみたい、で…きもち、…いい……」

島津と彦根の顔が奇妙に硬直した。
速水の顔も珍しく表情が固まったが、真っ赤になっていた。こんな可愛い事を酔って舌っ足らずな口調で、しかも不意打ちで言われれば固まることしか出来ない。
三人をいろんな意味で打ち負かした本人は、満足そうな笑顔で寝入っていた。


《夏は酷暑で…》

「あっつぅ……」
田口は扇風機を全開で回し、さらに団扇でパタパタとあおぐ。安アパートにクーラーなんて贅沢品は無い。
「おーい、行灯!」
訪ねてきたのは速水だ。今日は島津も呼んでノートを拝すると同時に飲むことになっている。
「あれ、島津は?」
「部活で少し遅れるってさ。」
そう言いながら蒸し暑い部屋へ上がった。
「うわっ…すげー暑い。」
「仕方ないだろ。…夏は暑いもんだ。」
と家主は強がる。
「でもなぁ、それにしたって……お前その格好を何とかしろよ。」
「へ? か、格好?」
田口は自分の姿を確認する。
ランニングシャツに短パン。いつもの夏の格好で、別に出かける訳でもない。
「何か変か?いつもこんなもんだろうが?来るのは島津なんだからいいだろ。」
「いくら何でも露出しすぎだろっ!」
「はぁ?」
男が男の、しかもいつも連んでいる仲間の格好なんか気にするものかと思うが、速水は穏やかではない。
つまりは独占欲と嫉妬。恋人の半裸に近い姿を他の奴に見せるのが嫌なのだ。
「お前、暑さで頭がおかしくなったのか?この前は島津と二人で銭湯にだって行ったぞ?」
「はぁっ?!裸の付き合いの仲なのかっ!」
「そりゃ風呂だから服は脱ぐだろ。」
平然と言う田口に対し、速水は言葉を失った。が、その後の行動は速かった。
「こ、の……浮気しやがったなっ!!」
叫ぶと同時に田口を床に押し倒し、首筋に噛みついた。
「!ったいっ!」
「まさか島津とは…油断した!」
「馬鹿言うなっ!お前、本当におかしいぞ?!」
「俺は真面目に言ってるんだ。」
「じゃあ尚更タチが悪い!」
押し倒して睨み、完全に我を失った速水の目を見て、田口は恐れよりも理不尽な怒りを感じた。
―――俺が怒られる筋合いは何も無いじゃないか!
そう思った瞬間、田口の堪忍袋の緒が切れた。

「…バッカ野郎っっ!!!」

田口の希なる大声と、派手な破裂音が安アパートの外にまで響いた。


「よお、遅くなってすまん。」
島津が玄関で声を掛けると田口が笑顔で現れた。妙に清々しい。しかし…
「おい、何でそんなちぐはぐな格好なんだ?」
それは何故かこの暑いのに、上は襟の付いたポロシャツで下は短パンという謎な格好。
「ああ、ちょっとな。タチの悪い虫に食われて痕がみっともないんだ。」
「?」
首を傾げながら上がると、部屋の隅に壁に向かって体育座りをする物体が鬱陶しい気を放っている。
「…行灯、アレは何だ?」
「あ、放っておいていいから。気にするな。」
そう言われてもあんなに鬱々とした物、目について仕方ない。島津は田口が台所で麦茶を入れている間にそっと声をかけた。
「おい、速水?」
「……。」
「どうした?」
そして、ゆっくりと振り向いた速水の顔を見て……
「ぶはっ!!!」
島津は思いきり吹いた。
世にも情けない顔つきと、その頬に張り付いた真っ赤な手形。
何があったか一目瞭然だった。
「そうか、タチの悪い虫はお前か。それならバルサンより行灯の平手の方が効果てきめんだな。」
「…うるせえ……」
またプイッと背を向ける速水に島津は苦笑をこぼすばかりだった。


《秋は黄金の海で》

「綺麗だな。」
「だろ?静かだし景色も良いから気に入ってるんだ。」
ここは銀杏の林。いくつかのベンチが点在していて夏場は木陰での読書には格好の場所。しかし秋はまた趣が変わって黄金に染まった葉が絨毯のように敷き詰められて、金色に輝く海のようだ。
「お前はこういうとこ見つけるのが上手いよ。」
「そうか?まぁ、伊達にサボっちゃいないからな。」
「バーカ。自慢すんなよ、そんなこと。」
そう言って顔を見合わせて笑った。
最初は並んで歩いていただけだったが、段々距離が近づいて。ムードも高まって手を繋いで歩いて行く。
「手…冷たいな。」
田口は速水の手を軽く握り締める。すると今度は速水が握り返す。
「俺は普通だよ。お前があったか過ぎるんだ。」
「そんな事ないって。」
そんな事を言い合いながら、それでもやはり寒くなったのか、速水は田口の手を握ったままブルゾンのポケットに手を入れた。
「…歩きづらい。」
と田口が文句を言うが顔つきは満更でもないので、速水はポケットの中の手をまた握り返してそっと笑った。

二人はそのまま立ち止まって顔を見合わせる。
ポケットの中で繋いだ手を解き、速水が田口の肩を力強く寄せて顔を近付けた。
田口もそれに逆らわず、速水のなすがままに身体を委ねて、そして………


「…おい、この辺一帯キープアウトのテープでも張るか?」
「それよりも剣道部の連中をけしかけて乱入させた方が面白いですよ。」
これはもちろん島津と彦根の談だ。
例の二人がいちゃついているのは学校の裏手にある林の中だ。学校内なのだから二人を知った人間がわんさかいる。その中で人目が少ない場所とは言え、公衆の場で不純同性交遊をひけらかすのは如何なものかとうっかり目撃した二人は思う。
「…バカだな。」
「…ええ、言葉にならないくらいの形容詞の付くバカですよね。」
手厳しい彦根の言葉はまだ続く。
「ああ、写真部の連中でもいいですね。性能の良い望遠カメラなら気付かれずに隠し撮り出来ますよ。」
「あんなの撮ってどうすんだ?」
「決まってます。その筋に売り出せば一儲け出来ますよ。速水先輩は文句なしの、田口先輩だってそこそこの見栄えですからね。良い稼ぎになります。」
「……頼むからそれはやめてやってくれ。ダチを売るようなマネは気が引ける。」
「大丈夫ですよ。顔出しはもちろんNGって事で目の部分くらいは加工しますから。」
「そういう問題じゃないと思うんだが……」

ちょっとキレた彦根を持て余す島津だった。


《冬はアツアツお鍋で》

冬と言えば炬燵と鍋が付き物だ。
炬燵と言えば田口の部屋、と言うのももはや定番で結局鍋パーティの場所は限定されてくる。

「おーい、行灯!アレがないぞ!」
「アレって何だよっ?」
「椎茸が出てない!」
島津が台所の田口に声を掛けると、「あ、悪い、悪い。」と言いながら田口が言われた物を持って来た。
「あ、先輩。アレあります?」
「アレって?」
「レンゲ。豆腐とか取るのに箸よりいいでしょ?」
「ああ、今持ってくる。」
「あ、行灯。俺、アレが欲しい。」
彦根のオーダーの後、すかさず速水がお願いをすると
「はいよ、分かったから。…ったく、誰か動けよな。」
とブツクサ言いながら台所へ戻る。
そこで島津と彦根が視線を合わせて、ちょっとだけ首を傾げた。

島津と彦根のオーダーは聞き返されたが、速水には聞かなかった。
いいかげん面倒だったのだろうか?

「お待たせ。ほら、レンゲ。」
「あ…すみません。」
田口は無造作にレンゲを渡し、今度は速水の前にゴマのつけダレの小瓶を置いた。
「お、サンキュw」
聞き返さなかったのに、田口には速水の欲しい物が分かったらしい。
すると今度は田口が速水に「あ、速水。そこのソレ取って。」と言い出した。
―――そこのソレ?
島津と彦根が?となっていると、速水は迷わず左手にあったティッシュの箱を差し出した。
田口は礼を言ってソレを受け取った。

―――何なんだ、この二人は?
指示語だけで会話が成立している。その後も「アレ取って」や「ソレ欲しい」とかですべてが収まっているのだから、島津も彦根も二人の間に入る余地は無い。
いや、あえて入ろうとは思えなかった。
―――こいつら、熟年夫婦かよっ!
なんて二人に思われていたなんて、田口も速水も思いもしていないだろう。

この日の鍋は、ある意味下手につつくと大ヤケドを負いそうな予感がしたので、島津も彦根も言葉少なにせっせと食したのだった。



おしまい


結論:しょうどんは年間通してバカップルw ……もう、一生ヤッてろwww 応援しちゃうw

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