愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
No.377
2013/09/05 (Thu) 12:19:58
目は口ほどに…
ふぅ……
俺は気付かれないよう、枕に顔を埋めて小さくため息を零した。
速水は相変わらずの忙しさ。そして俺の方は珍しく多忙だった。
つまりは互いにすれ違いが多くて声を聞かないどころか顔も合わせない日々が続いて丸々一ヶ月。今日は久し振りの逢瀬だった。
速水は会うなり抱き付いて俺の身体中を撫でまわし、布団に入ってからもじっくりと味わおうなんてスケベオヤジ的な事を言うもんだから、俺がキレて積極的に求めてやった。
…聖人君子じゃない。俺だってヤりたい時はあるんだ!久し振りなら尚更だ!
妙な誤解や妄想をさせるから、そんな事は一言だって言ってやらないが…。
速水も最初は驚いた様子だったがすぐに乗って来て、でも最後は速水のいいようにされて二人で一緒に果てた。
やはりアイツは熱い。身も心も発する言葉も、何もかもが情熱的で熱い男だと再確認した。
そしてその熱は伝染して時折俺を狂わせる。
でも…それは嫌な感覚ではなかった。
―――あ、背中にミミズ腫れ…さっき俺がやったんだな。でも俺だって多分ヒドイ有様だ。
布団の中から背を向けて水を飲んでる速水をぼんやりと眺める。
綺麗な背中だ。俺とそう違わない歳なのに無駄な肉の付いてない、姿勢の良い凛とした立ち姿。本当に昔から変わらずイイ男だ。
俺なんか…なぁ……
今の自分の体型にちょっとだけ凹んで速水に背を向けた。
「何見てんだよ?」
「……見てない」
ああ、さっきまで見てたけど今は見てないぞ。
何でお前はそんなに勘が鋭いんだ?野生動物の生まれ変わりか?その内まだ来ない災害や事故でも予言し始めるんじゃないのか?
下らない事を考えてたら速水が隣に潜り込んで来た。が、俺はそのまま動かない。
「行灯…」
いい加減そのあだ名もやめてくれ。特にこの場面じゃ間抜けだ。
「行灯… 田口…?」
ああもう、お前反則!俺の心まで読むようになったのか?!
悶々としていたら強引に身体の向きを変えられて速水と対峙することになった。
「…お前もしかして……」
言うなよ、絶対にその先は言うな!解っても慎め!
「まだ欲しいのか?」
俺の顔を見るなりちょっとだけ目を見張りながらも、さらりと言い放ちやがった!
「だ、誰が!そんなこと言っ…!!」
俺の心とは裏腹な文句は速水の唇でかき消された。
おしまい
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