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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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No.318
2012/06/12 (Tue) 23:35:09

今日はつぶやき仲間のHさんとオタ充&リア充で充実した1日を過ごせましたw
しかもこのところ梅雨の行灯祭りとあって、方々の連載で行灯がちょこちょこと顔を見せてますね~!

さて、楽しい1日だったので学生しょうどんで小ネタを一発投下。
仲良しこ良しな二人ですw

拍手[12回]



風邪にご用心 (学生しょうどん)


ピロロロロ……

「はい…。」
電話の相手は田口だった。今日は会わなかったが、明日は一緒に出掛ける約束をしている。
『悪い速水。明日キャンセル……』
聞こえてくる声はずいぶんと弱々しく、電話越しにもヘタレきっているのが目に浮かぶ。
「なんだ 風邪か?」
『…多分。昨日雨の中走って帰っただろ?』
梅雨時なのにうっかり傘を忘れ、結構な雨量の中を田口と二人で駆け抜けたのだ。
『今朝からなんとなく怠くて休んでたんだけど…今、熱がありえないくらい出てる。』
「じゃあ、さっさと暖かくして寝てろよ。」
『…ホント、ごめん。』
あまりにも悄然とした声音につい
「しょうがないだろ。 薬飲んで休めよ。」
と言って電話を切った。

速水は思う。
きっとあいつのことだから病気になって、人恋しくなってるだろう。
そして、今頃は電話越しなんかじゃ足りないはず。

俺だって……それだけじゃ足りない。


********


電話を切ると速水は外出の準備を始める。
田口のことだから発熱した時の準備なんか何もしてないだろう。
途中コンビニにでも寄って、冷却シートと飲み物でも買って行ってやるかと算段して家を出た。
しかし……
「―――何だよ、急に。」
忌々しそうに速水の眉間にしわが寄った。
生憎、雨が降り出していたのだ。速水は雨の日の外出は好きではない。
服は濡れて汚れるわ靴は傷むわ、傘を差すのも面倒くさい。
―――何もかもが鬱陶しい。

それでも速水は不機嫌な顔を露わにしながらも、傘と財布を握って玄関に鍵を掛けて表に出る。
「あの野郎…。こんな雨の中俺を外出させるとは、後で高額請求してやる。」
的はずれな文句をブツブツと呟きながら傘を開き、まずはコンビニへと向かう。

恋する男は雨の中、せっせと足を進めた。


********


「いいから帰れよ!」
「病人が何言ってる! いい加減開けろっ!」
「だから、伝染るって!!」
「お前がひくへっぽこ風邪なんか伝染るかっ!!」

夜のアパート。しかも男二人が痴話喧嘩なんてこっ恥ずかしいから 自然と音量は控えめで。
それでも譲らない二人。
田口の住むアパートに着いて部屋のインターホンを押せば、一瞬ドアは開いたものの速水の顔を見た途端ドアは閉められドアチェーンまで掛けられた。
こんなことなら合鍵でさっさと押し入っておけば良かった、と後悔したが仕方がない。
そんなこんなしている内にドアを隔てて「帰れ」「帰らない」の言い合いに発展した。

そして この扉一枚の攻防戦を制したのはもちろん速水。
チェーンで防戦するドアの隙間から無理矢理に手先を突っ込み隙間に寄せていた田口の熱っぽい頬にそっと触れてやれば田口“人恋しさ”ならぬ “速水恋しさ”に、あとはなし崩しで。

ようやく中に入って身体を抱きしめてやれば、田口は小さな声で「伝染っても知らないぞ…。」と呟き縋り付いた。


********


冷えてしまった身体を温めるため、何故かこの部屋にある布団乾燥機をセットする。
田口はその間、厚着をして季節外れの毛布にくるまり額には速水の買って来た冷却シートを貼り付けた。
「……寒い…。」
「玄関で言い争うからだ。ったく、この馬鹿が。」
「うるさい…。」
などと文句を言っても速水が側にいる安心感のほうが強くて。

「厚着したまま寝ろ。その方がたくさん汗をかいて熱も早く下がるはずだ。」
言われるまま暖まった布団にそのまま潜り込めば、温もりと柔らかさが気持ちいい。
速水はぼーっとした田口の顔を覗き込み、乱れた髪をそっとひと撫でした。
「大人しく寝てろよ。」
そう言って襖が閉められると田口は暗がりの中にひとりになり、あっという間に眠りに落ちていった。

明け方近くにふと目が覚めた。ぼんやりと室内を見回すと、隣に速水の寝顔があった。
『一晩中、居てくれたの…か?』
寝起きの回らない頭でじっと速水を見つめ、何だか安心するとまた眠りの波がやって来た。

病気だけれど…速水が側にいてくれる寝起きはかなり幸せだ。


********


次に目覚めた時は熱もだいぶ引いていて、あんなに怠かった身体もかなり軽くなっていた。
「うわ~、すごい汗かいた。気持ち悪い……。」
半身を起こしてしかめっ面の田口の額に手を当てて熱の具合を確認する。
まだ僅かに熱っぽい田口の顔はほんのりと赤く、目も潤んでいる。
そんな表情で布団の上に居られたら、病人相手だが妙な気持ちが湧き上がって来て……。

「速水?」
黙って固まってしまった速水を田口は不審に思う。
速水はそのまま両手で田口の頬をはさみ、顔を上げさせる。
「………おまえが悪い。」
「へ?」
「もう一汗かけば、熱も引くな。」
「は、はや…み??」
近づいて来る速水の顔に焦り、目をぎゅっと閉じる。
そしてキスまであと僅か…と言うところで

クシュン!

田口は咄嗟に顔を背けて小さなくしゃみ。 
速水は気をそがれて、不満顔でキスの代わりに悔し紛れのデコピン攻撃を仕掛けた。


今度は速水の“熱”が収まらなくなったとか。



おしまい

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