今朝になって明日と今日の予定が入れ替わりになり、連載は今日からです!
明日はあんまりパソが使えない日になりました;;
昨日も書きましたが、痒いタイトルです(笑)。日本語にすると往年の名曲です。
この連載の構想はサイトを始めたころからありました。
これが私の愚痴外来の原点と言っても良いくらい。
本当は一話だけの単品だったのですが、勢いに乗って続いてしまったというウッカリさ(笑)。
なので、今回は短いです。次回から一話が段々と長くなってくるという罠;;
では、以下からどうぞww
Fall in love 1
【Side T】
―――行灯、てめぇ
あの時の速水の顔は忘れられない。
あいつをやり込めた爽快感と、僅かな心の痛み。
この措置はこの病院の為であり…自分のエゴでもある。
「…エゴの方が強い、かな?」
俺はひっそりと自嘲した。
彼の辞職を許さず、この病院に繋ぎ止めたまま北の地に追いやった理由。
一つはこの病院と地域の救急医療には不可欠な人材だから。数年で戻れることを前提での建前的な左遷だ。
本人は不本意な結果であっただろうが、彼の力は現場では絶大だ。
たとえその力が諸刃の剣であったとしても…彼の医療に注ぐ情熱は本物だ。
そしてもう一つは……別の意味で彼を手放したくないと言う自分のエゴ。
「別にどうにかなりたいワケじゃないんだけどね…」
ただ、あの威風堂々と最前線で戦う彼の姿が眩しくて。
眩しいけれど、目が離せない。心惹かれて止まない。
昔…学生時代から主役にしかなれない男だった。
―――やっぱり詭弁だなぁ。
と心中で苦笑した。そう、やっぱりあの男に惹かれているのだと再確認した。
だから…あの時自分に与えられた権限を振りかざして繋ぎ止めた。
また会いたくて。また軽口を叩き合いながら一緒に仕事がしたくて。
いや…惚れた男を手放したくなかっただけだ。
認めてしまえば気は楽になるが、あまりにも不毛な恋だと言う現実が突きつけられる。
「3年の執行猶予か…」
風の噂では師長の花房と共に北へ赴いたと言う。
あの二人ならお似合いで完璧なカップルだ。
ならばなおさら、その間にこの気持ちを完璧に封印しなければならない。
速水を手放したくないと思うと同時に、一緒にいたければこの友情を越えてしまった感情には永久に鍵をしなければならないのだ。彼と再会した時に、なに食わぬ顔でいられるように。
この感情に気付いてしまったから…だから彼を遠い院外に放り出した。
この重大な事件に、思い切り私情を挟んだ決断を下したのだった。
いなくなって初めて気付く、この想いの大きさ。
これを心の底に沈めて蓋をするのは骨の折れる事だろう。
しかしやらなければならない。
幸い時間と面倒事は山ほどある。それに埋もれてしまえばいい。
この未練とエゴが、吉と出るか凶と出るか分からないけれど。
忘れられなくても、年を食ってからのほろ苦い思い出の一つになるだけ。
独りには慣れているから大丈夫。
きっと…大丈夫。
つづく
別れから始まる恋…切ないのも好きです。最後まで甘く切なく出来るかは不安がありますが、しばらくお付き合い頂ければと思います。