いいんです。今朝は5時から起きてるので、一通りの事は済んでますからw
本日は取りあえず、連載2話目です。
今回は、というか今回のみ花房女史が登場します。原作ありきの私なので、彼女との関係を一応こじつけでも良いから(笑)きれいにしておきたかったんです。
ま、いろんな言い訳は後ほど。
ってことで、以下に連載文でーす。
あ、拍手パチパチもありがとうございますww
いつもよりいっぱいで嬉しいです~!! 毎度励まされてますw
Fall in love 2
【Side H】
ここは最北の地。数ヶ月前、俺はこの僻地に舞い降りた。
花房を引き連れて…
互いに惹かれていたのは分かっていたから、ここに来てからは同棲めいたこともした。
そうなると当然男女の仲になる。自然な流れだ。
しかし俺たちにはそこに至ってから大きな誤算に気付いた。
俺たちは職場での付き合いがあまりにも長すぎた。
その結果、間にあるのは男女の情愛では無いと二人して気付いてしまったのだ。
共に修羅場をくぐり抜けた戦友のような同士愛が一番しっくりと来る。
男女としての愛情が無かった訳ではない。ただ、その次元を超えてしまっていたのだった。
寄り添って見るまでそれに気付かないなんてなんて間抜けな話なんだと、結局二人で大笑いして同棲は解消された。
そして花房は一度割り切ってしまえばどんな関係になっても気軽に付き合えた。
「田口先生って意外とやり手ですよね?」
久しぶりに花房と食事に出掛けた。今、彼女は市内の病院で働いている。以前の職場に比べれば忙しさは半減以上だ。なので休みがあえば時折食事をしている。
話の流れで懐かしい行灯の名前が上がった。花房は俺の処遇に感心しているらしい。
「おお、あいつはタチが悪い。ニッコリ笑ってばっさりと一刀両断できるヤツだ。甘く見てると大きなしっぺ返しを食らう。…今回の俺がいい例だ。」
八割は本心だが二割は諦めだ。花房はクスクスと笑っていたが、しばらくするとため息混じりにこぼした。
「でも…今回の事は落とし処に苦労なさったでしょうね。」
「あいつならではのセコい手だったが…まぁ、行灯の引導だからな。」
俺は飯をかき込みながら続けた。
「あいつに引導渡されりゃ、俺としちゃ本望さ。」
食事の仕上げに茶に手を伸ばしたら、目の前で花房が固まっていた。
「どうした?」
目を見張って、信じられないような様子で俺を凝視している。
「なんだよ?変なこと言ったか、俺は?」
「……本望って……何です、それ?」
「?」
「まるで…愛の告白みたいですよ?」
俺は啜ってた茶を思わず吹き出すところだった。そして寸でのところで無理矢理飲み込み…むせた。
「はぁっ?!何だそりゃ?!」
想定外の科白を聞いて新手の冗談かと思いきや、花房は至って真面目な顔だ。
「だって田口先生になら自分の命運をすべて預けてもいい、と言うことですよね?」
「まぁ…似てるような、違うような……」
そんな大げさな話じゃないだろ?と投げかければ「そうですか?」と問い返される。
質問に質問で返すのは不毛だと思う。
「なら、先生をここに送るという処遇を決めたのが田口先生でなかったら、大人しく決定に従ってましたか?」
俺はちょっと考える。
もしもあの場面で3年間の左遷を提案したのが行灯でなかったら…
「……そんなの無視して受理されるまで、辞表を何枚でも叩きつけただろうな。」
「でしょ?やっぱり先生にとって特別なんですよ、田口先生は。そうでなければそんな言葉は出てきませんよ。」
花房は納得したように一人頷いているが、俺には甚だ疑問だから反論を試みる。
「しかしなぁ…俺は昔から行灯は嫌いではないが苦手だぞ?」
「あら、初耳ですね?」
「あいつを見るとどうも調子が狂う。『天窓のお地蔵様』の異名は伊達じゃない。こっちの意欲が殺がれる。」
俺が憮然をすると花房は小さく吹き出した。
「お地蔵様じゃ、勝ち目はありませんね。闘争本能の固まりみたいな先生のブレーキみたい。」
それもちょっと違うぞ?とつっこもうとしたが、これ以上言うことも無いので軽く肩を竦めて苦笑で終わらせた。
『田口先生は特別』
そのフレーズが頭から離れない。花房が変なことを言うから気になって仕方ない。
帰ってからソファに寝ころんでため息を吐く。
ここでふと逆説を取ってみようと考えた。無理に忘れようとするから気になる。ならばとことん考えて自分の納得のいく答えを出せば良いだけの話だ。
あいつに引導を渡されれば本望と思ったのは嘘ではない。そりの合わない分からず屋どもに指図されて辞めるなんて我慢ならない。
それならあいつにばっさりと切られた方が諦めもつく。俺の事を理解してくれる数少ない友人だから…。
花房の言った通り、今回の事はあいつも苦労しただろう。その点は心底申し訳ないと思う。
どこでも医者はできると嘯いたものの、やはり古巣には思い入れがある。
3年後、あいつはどんな顔で俺を迎えるのだろう。
少し申し訳なさそうに、それでも笑ってお帰りと言ってくれるのだろうか?
あいつは優しい。そして懐が深い。
それが苦手の原因だ。あいつのその部分に触れてしまうと、穏やかな揺らぎに身を任せているようで…。
自分の根底にある闘志が根こそぎ持って行かれそうで怖かった。
その反面、あいつの穏やかさを求ていたのも事実だ。
物事が上手くいかずイライラしている時も、あいつと会って話をすると落ち着いてくる。
そう言えば…意外と昔から聞き上手だったから、愚痴外来が成功したのも当然の成り行きかもしれない。
「行灯からはマイナスイオンでも出てるのか?」
あの外来の奥の院を思い出す。
はめ殺しの窓からは温かい光が差し込み、部屋の主がお気に入りの珈琲の香りがそこはかとなく漂う。
その中に、締まりのない格好だけれど安心感と心のゆとりを与えるあいつが座っている光景。
俺は無性にあいつが懐かしくなった。
そして…遠く離れている事にひどく落胆していた。
つづく
『あいつに引導を渡されるなら、俺には異存はない。』(赤本)
将軍のこの一言で速水×田口の深みにハマッたのは間違いない事実です。その思いは今回花房女史に代弁してもらいました(笑)。
彼女の扱いや性格面など、納得いかない方もいらっしゃるかもしれません。でもあまり女らしくしてしまうとドロドロな方になりそうなので、あえてさっぱり男前仕様にさせて頂きました。
