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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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No.354
2012/12/24 (Mon) 17:16:21

もう一度、メリークリスマスw
お待たせかどうかわかりませんが、今年のクリスマスSSはチビ行灯に助けて頂きました(笑)。
とにかく久し振りのしょうどんSSを久し振りに投下しておきます。

皆さま、素敵なクリスマスをお過ごし下さい♪

あ、カテゴリーを少し整理しました。
チビ行灯シリーズとパラレルを原作から切り離しました~。
過去のおチビを読みたい、チビ行灯て何?の方はカテゴリーでどうぞw

拍手[5回]



Little Pani 番外編~メリークリスマス!


田口と速水は一週間前に喧嘩をした。
それは確か些細な言葉のすれ違いだったと思う。しかし気付いた時にはどちらも譲れなくなって、互いに意地を張り通して、更には急患も続いて…とうとうクリスマスイブになってしまった。

「…部長、その不機嫌な顔どうにかなりませんか?」
一番にしびれを切らしたのは佐藤…ではなく翔子だった。
「…何だ、文句があるのか。」
不機嫌さが更に二割増した分、凄みも増したが翔子は怯まなかった。
「部長の不機嫌がオレンジに広がって、とっても雰囲気が悪いです。みんな部長の顔色を伺ってビクビクしてますよ。」
「……。」
速水は自分が部下に及ぼしている影響を考えていなかった。と言うか、自分では普通を装っていたつもりだったので今更認めるのも悔しくて返答はしなかった。が、翔子は容赦ない。
「理由が何かは知りませんが、少し落ち着いてくれませんか?そうだ、グッチー…じゃなくて田口先生の所に行ってコーヒーをご馳走になってくれば気が晴れるんじゃないですか?」
意外な人から意外な話が出た。クリスマスの時はほとんど田口が当直であると言うのは知れ渡っているらしい。
「…何でここであいつ話が出るんだ?」
速水は若干の動揺を隠して、わざと平坦な声音で聞いた。
「だって部長、深夜にコーヒーの香りさせてることがあるじゃないですか。きっと田口先生が当直の時にコーヒーを飲みに押し掛けてるんじゃないかってもっぱらの噂ですよ?」
翔子はニッコリと笑った。いろいろと含みのありそうな笑顔だ。
「……分かったよ。」
彼女の押しに掛かっては速水も降参するしかなかった。
「今のところ問題はありませんから。」
「何かあったらすぐに呼べよ。」
速水は渋々と深夜の愚痴外来へと向かった。

「ったく、どんな顔で会いに行きゃいいんだ。」
心の整理もつかないままオレンジを放り出され、ぶつぶつ言いながら外来の前まで来てしまった。しばらく躊躇したが腹を決めて、いつも通りにドアを開けた。
「おい、行灯。いるか?」
鍵も開いていたし、部屋の電気もついている。しかし…田口の姿が見えない。
「トイレにでも行ったのか?」
間が悪いな、と思ってふと見下ろしたソファの上。ぐしゃぐしゃの仮眠用ブランケットの下で何かが蠢いた。
―――いや、まさか…な?
速水にとある記憶が蘇る。悪い記憶ではなく、むしろ楽しく癒される思い出だ。少しドキドキしながらブランケットの端を摘み、そっとめくってみると……

それは日頃が殺伐としている速水にとって、ささやかなクリスマスプレゼントだったのかもしれない。
あの小さな田口が三人、ちょこんと座っていた。

「はやみっ!」
いち早く速水の手に飛びついたのはいつでもご機嫌のデレなチビ田口だ。
「よお、久しぶりだな。」
速水もそれに応えて指先で頬を突いてやった。キャッキャとはしゃぐデレ田口を構いながらソファの前に屈んで残りの二人、ツンなチビ田口とふわふわ(寝汚いとも言う)のチビ田口を覗き込んだ。
「変わらず可愛い奴らだな。」
満足げな顔で呟けば、ツン田口は顔を赤くしながらプイッとそっぽを向いてしまい、フワフワ田口は文字通りふんわりと笑った。いちいち可愛らしい反応に速水はつい先ほどまでの不機嫌はどこへやら、笑み崩れた。

しばらくチビ達を見ながら和んでいたのだが、少し様子がおかしい。デレ田口が離れないのはいつもの事だが、いつも少し距離を置くツン田口もどこかしらで眠りこけてしまうフワフワ田口までもが速水の側を離れようとしない。速水としては嬉しいが、こんなに甘えられては逆に気になってしまう。
「何だ、どうかしたのか?」
一番素直に口を割りそうなデレ田口に問えば、腰掛ける速水に近付きしがみ付いた。小さいなりに力強いので速水は少し驚いて、慌ててデレ田口をつまみ上げて自分の手に納めた。
「どうした?」
もう一度聞けばデレ田口はいつものご機嫌な顔を曇らせて呟いた。
「…はやみ……こなかった。」
「え?」
「けんかしてこなかったから…さみしかった。くるの、まってた。…あやまろうっておもってた。」
細い声で俯きながらデレ田口が言った。

速水がどうしようかと迷っていたのと同じように、田口もどうやって仲直りすべきか考えていたのだろう。喧嘩したその日は頭に血が上っていたが、日が経って冷静になれば悪かったと思う。しかし、いい年した男が何やってるんだとバツも悪くなって会いづらくなるものだ。
田口はそれと同時に寂しいとも感じていてくれた。普段はあまり正直にならない田口もこのチビになると直情になるようで、気付けばあとの二人も速水の太ももに背を預けてちょこんと座っていた。
「…ごめんな。」
最近はひっきりなしに救急車のサイレンが鳴っていたから、田口はオレンジには近付けなかった。ならば速水が時間の空いた時にここに足を運ぶべきだったのだ。
「悪かったよ。」
速水はいろいろな意味を込めて謝った。もちろん田口が元に戻った後もきちんと謝るつもりだ。
「好きだよ、行灯。」
仲直りの意味も込めて、またデレ田口の頬を指先で突くと嬉しそうに満面の笑顔になる。
「はやみ、だいすき!」
その一言だけで速水の心が暖かなバラ色に染まる。
―――本当は普通の行灯から聞きたいもんだが…
そんな甘い言葉は思っていても照れて、絶対に言ってくれないだろう。このサイズになっているからこその醍醐味だ。
速水が鼻の下を伸ばしていると、下の方でクイッと白衣を引かれた。
「ん?」
ツン田口が無表情ながらも仕事机の方を指さしている。
「あっちに何かあるのか?」
デレ田口を置いて机に向かえば…速水のトレードマークであるチュッパチャップスが三本、透明な袋に入って綺麗にラッピングされている。その表には『Merry Christmas』のシール。
「…用意してくれてたのか。」
田口なりにいろいろと考えていてくれたと思うと、速水は何だかとても感動してしまった。これを買う時、あいつはどんな気持ちだったんだろう。こんな可愛らしいラッピングをされてどんな顔をしていたんだろう。
―――想像してるよりも愛されてるのかな?
と自惚れたくなってしまう。

プルルルッ

聞きなれた電子音がバラ色に染まった速水の心を現実に引き戻す。
「どうした?」
『交通事故発生です。緊急搬送の要請が…』
「受けろ。すぐ戻る。」
速水はスイッチを切り替えて救命医の顔に戻り振り向くと、ソファの上で小さい田口が三人、速水をじっと見ていた。速水は少しだけ表情を柔らかくした。
「じゃあな、行って来る。朝まで大人しく待ってろ。」
そう言って一人ずつ頭を撫でて、足早に出て行った。

オレンジに戻る速水はすっかり元通りの、威風堂々とした将軍に戻っていた。


すべての処置が終わり、速水は翌朝に田口の元へと向かう。
そっとドアを開けると…ソファに寝ているのはいつもの田口だった。ブランケットにくるまって小さな寝息を立てている。
「行灯、起きろ。」
側に寄って寝乱れた髪を撫でるとまぶたがぴくりと動きうっすらと目が開く。
「…は、やみ?」
「おはよう、行灯。」
田口の気持ちは理解出来ていたので、自然と優しい穏やかな口調になる。
「……。」
田口は寝起きの瞳でじっと速水を見つめた。
「何だよ?なんか変か?」
「…あ、いや…夢を……お前が夢に出てたような気がしてさ。起きたら目の前にいたから‥驚いた。」
昨晩の事だろうか?それは誰にも分からないけど。
「なぁ、行灯。その…悪かった。」
「え?」
出し抜けに謝られて田口は更に驚く。
「つまらない意地を張って会いに来なくて…悪かった‥と思ってる。」
「な、何だよ急に。」
慌てて焦る田口がおかしくも愛おしい。そう感じて速水は田口を思いきり抱きしめた。
「お、おい?!」
「やっぱりお前が好きだなって再確認しただけだ。お前を好きになって…良かった。」
「何だ、朝っぱらから?!」
訳が分からない田口は、速水の告白に顔を赤くしながら腕の中で騒ぎ立てるばかりだ。


今晩も行灯は当直を入ってるはずだから、時間があったらケーキでも買って来よう…コンビニのだけど。
それでここで僅かな時間だけれども、二人きりでクリスマスを祝おう。
今夜は緊急事態が起きませんように…。
せっかくのクリスマスなんだから、事故や事件は無い方がいいだろ、神様?

おしまい

私がね…チビ達で癒されたかったんです。きっとチビ達はサンタのコスをしたら可愛いよねw

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首都圏に棲む主腐…もとい主婦。家庭内における肩身の狭い『隠れ同人』。
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