連日の更新で、ネタ切れも近い……(汗) しかし頑張る。
ついに予想外にはまった世良渡海を投下!
カテゴリーは一応愚痴外来と区別するため、『番外小話』にしました。
…微妙ですよ?
世良と渡海の間に入る記号が『×』でも『+』でもない。
世良ちゃんがワタワタしてる話です。まだ恋にもなってない;;
よろしかったら続きをどうぞw
拍手もありがとうございます!! 励みになりますです~w
お返事は後ほど2度目日記の方で。
雨の中の悪魔
夏の天気に油断は禁物だ。
「お先に失礼します。」
本日の業務も無事終わり世良が帰ろうとすると、どこからともなくふわりと現れる人影。
「よぉ、世良ちゃん!今日はあがりか?」
「あ…はい。」
影の正体は渡海だ。世良は何となく嫌な予感がして、頭をひとつ下げてその場を立ち去ろうとした。
が、うまくいくはずもなくガッシリと身体ごと拘束された。
「世~良ちゃん。俺の買い物につき合えよ。」
嫌がらせで言っているくせに、口調が甘ったるい。
それをダイレクトに耳元で囁く。
そして必要以上に密着した身体。
世良は硬直、混乱、困惑に絡めとられ…そのまま渡海に拉致された。
買い物とは箱買いの缶ビールと地酒等々。
何のことはない、渡海がこの暑さの中、重い荷物を持ちたくないから連行されただけだった。
世良が不満そうに文句を言えば「年長者は労るもんだろ?」と不敵な笑みを浮かべる。
「……すべての年長者が労るべき対象とも思えませんけど。」
心の中で『特に渡海先生を見てると。』と世良は付け加える。
「つれないねぇ。」
渡海は残念そうに呟くが、世良には揶揄しているようにしか聞こえない。
熱気漂う夕方の空気の中、不意に涼しい風が吹き抜ける。
「お、ひと雨来るか?」
「みたいですね。ほら、あっちの空が暗いですよ。」
両手の塞がった世良が見つめる先の空はすでに真っ暗な雲で覆われ、この辺りが雨になるのも時間の問題だ。
「よし、急ぐか。」
二人は足取りを速めた。
しかし意外にも早く雨は降り出し、あっと言う間に二人を濡らした。
雨足が強くなったところで丁度公園に差し掛かり、屋根のある休憩スペースに飛び込んだ。
「うわ、参ったな。」
荷物をベンチに置き、やっとひと息つく。雨がよりいっそう強くなり、屋根を叩く雨音がうるさくて互いの声がやっと聞こえるくらいだ。
「こんな夕立、久しぶりですよね。」
「これだけ降りゃ、今夜は涼しくて過ごしやすそうだ。」
濡れて身体に張り付いたシャツが不快だが仕方ない。
世良にしてみれば荷物持ちをさせられた挙げ句、ずぶ濡れになるなんて踏んだり蹴ったりだ。
文句のひとつでも言いたいところだが、渡海は世良の言い分なんて歯牙にもかけないだろう。
そんな複雑な心境をもって、世良は並ぶ渡海の横顔をそっと見る。
渡海はじっと雨を見つめている。
その表情は、シニカルでも何でもない気を抜いた横顔。
濡れた髪が邪魔だったのか、片手でざっと掻きあげた。首筋を滴が流れる。
そのさりげない仕草が…妙に艶っぽい。
世良は慌てて視線を逸らす。
逸らした先にあったのは、渡海の肩先。世良と同じように白いシャツが身体にまとわりついている。均整のとれた上半身のシルエットが目に入り、無駄のない綺麗な線をしていると思った。
白いシャツが透けてラインだけでなく、乳首まで見えていた。
世良ははっとした。
―――何考えてるんだ!
再び慌てて、自身に渇を入れる。
しかし、一度意識してしまうと恐ろしいくらいに動悸が激しくなる。
失礼だし変だとも思ったが、横目で何度も見てしまうくらい…魅力を感じてしまった。
―――何だ?何なんだ!?
こんな感情は知らない。顔が熱い。全身が心臓になってしまったのかと思うほど、鼓動が大きくなっている。
「どうした、世良ちゃん?」
「えっ?」
急に話しかけられて飛び上がりそうになった。
「顔が変だぞ?冷えて腹でも壊したか?」
色気も何もない若干失礼な問いは、世良にとっては救いだった。
「ち、違います!シャツが張り付いて気持ち悪いなぁって…」
「ふうん……」
渡海は不審そうだがそれ以上は興味が無くなったようだ。
「…よし、そろそろ行くか。」
「え?まだ止んでませんよ。」
雨足は弱まったが、まだざぁざぁと音がたつほどだ。
「これだけ濡れてるんだから今更だ。」
そう言うが早いが荷物の半分を世良に押しつけ、何故かもう半分を自ら抱えた。
「ほら、行くぞ!」
そして…
「!!」
渡海は世良の右手首を掴んで、引きずるように走り出した。
真っ赤になって言葉も出ないまま、世良はされるがままに一緒に走った。
雨の中、手を握って先導する男が意地悪く笑っているなんて世良は想像する余裕もなかった。
世間の世良渡海派の方々、こんなんでどうでしょうか?