思わず鼻血を吹きそうになりまして、そのモエモエムラムラを書いてしまった。
ついったーにも流した短文(改稿してますが)ですが、よろしかったらどうぞ。
デコチュー(世良渡海)
「…鬱陶しいな。」
世良は医局の席でカルテの処理をしていて前髪を掻き上げた。ここしばらく忙しくて散髪にも行っていない。しかし自分で切るのは抵抗がある。
「仕方ない。」
机の中に輪ゴムでもないかと探すが、欲しい物が欲しい時に無いのはよくある事だ。こうなるとどうにも気になって仕事の進み具合もはかばかしくない。
仕方なく世良はナースセンターに輪ゴムを調達しに行く事にした。
「すみません、輪ゴム一つ貰えませんか?」
「輪ゴム…ですか?」
「ええ、ちょっと髪が鬱陶しいから事務の時だけ縛ろうかなって。」
そう言って世良は前髪を上げた。するとナースがゴムじゃクセが付いて解いた時にみっともないから、と言って大きめの髪留めを貸してくれた。
さっそく留めてみると視界も良好で心地よい。世良はお礼を言ってそのまま医局へと戻る。
後ろで、髪を上げた世良の可愛らしさにナースがくすくすと笑っている事なんて気付かずに。
席に戻ってしばらくすると渡海がふらりと入って来た。
「なんだ、世良ちゃんひとりか。」
「あ、先生。」
世良が机から顔を上げると、渡海が一瞬きょとんとした顔をして次に大爆笑した。
「何だよ、その頭!」
「前髪が鬱陶しいんです。そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
「いや~、何だかなぁ。」
渡海は笑いながら座っている世良の横に立って、今度はじっと世良の額を見つめる。
「な、何です?」
表情の薄い渡海の顔に僅かに笑みが浮かんで、その顔が額に向かって降りて来た。
チュッ!
…それは渡海から世良へのキス。いわゆるデコチューだ。
「……え、…ええっ!な、な、な……」
世良は狼狽えて目を見開いて恐慌状態だ。そんな様子を渡海がまた面白そうに見下ろしている。
「と、渡海せん、せ!な、何で!!」
「……ゆで卵。」
「…は?」
「何かゆで卵みたいにツルンとしてて可愛いもんだと思ったから。」
「は、はぁ?」
渡海は謎めいた言葉を残して医局からゆらゆらと出て行ってしまった。
結局キスをしたのは、ゆで卵みたいだったからなのか可愛かったからなのかは不明のままだった。
終わり