今日の日記はタイトル通りです(笑)
以前から愚痴外来が世良渡海でパラレルを書いてみたかったのですが、先に世良渡海の方が降臨しました。
オーソドックスな義兄弟ネタですw
ただ、書いてみたら玉砕気分。突っ込み処満載な事に;;
正直、迷いながら書いたのでそれが顕著になっちゃったというか。
気になる方は続きをどうぞ。
原稿やらなきゃ!!
でも、世良渡海が楽しいw
義兄弟パラ (世良:大学生 渡海:大学講師)
「また飲んで来たんですか?」
深夜にしたたか酔って帰宅した義兄を世良は玄関で迎えた。
「そんなに目くじら立てんなよ。」
義兄の渡海はへらりと笑って靴を脱ぎ捨て、ゆらゆらとリビングへ歩いて行く。そんな後ろ姿を世良は溜め息を吐いて見送った。
世良がこの家に来たのは高校生の時だった。
最後の家族である母が亡くなった後、突然一人の男が現れ「今日からお前の父親だ」と言われた。物心ついた時から父の顔を知らない世良は訝しく思ったし、母も父の話はしなかったので突然の登場に驚き怒り、呆れもした。
ただとても誠実で真面目な人だったので、悪印象はなかった。
そしてその人を信じて自宅に連れて行かれ紹介されたのが、十歳も年上のその人の息子である渡海征司郎だった。
「…お義兄さん……ですか?」
と使い慣れない言葉を口にすると、聞き慣れない方も非常に嫌な顔をした。
「何か気持ち悪いな。……お前、高校生か?」
「はい。」
「じゃあ、先生って呼びな。これでも一応大学講師だ。」
「…わかりました。…先生。」
これから家族となる人の機嫌を損ねるのは気まずいので言う通りにしておいた。
しかし「父親」との生活も長くはなく、たった三ヶ月で「父親」も逝ってしまった。
結局亡くなった母との関係もよく解らぬまま、世良は渡海とこの家に残ることになったのだ。
その後世良は渡海の在籍する大学に入学し、学部こそ違うものの教師と生徒が一つ屋根の下で暮らす状態が続いている。
酔った渡海の後を追ってリビングに入るとソファでだらしなく渡海が横たわっている。すでに半分寝ているようだ。
「こんなところで寝ないで下さい。俺じゃ寝室まで運べませんから。」
「…まるで奥さんみたいだな、世良ちゃんは。」
渡海はいつも世良の事を『世良ちゃん』と呼び、まるっきり子供扱いだ。そして名前は決して呼ばない。義兄弟であることを、家族であることを未だ認めていないのか…渡海の胸の内は世良には理解出来なかった。
「もう、何でもいいですから起きて下さいよ。明日だって講義あるんでしょ?」
「お前だって同じだろ?そっちこそ早く寝ろ。」
「生憎ですが、俺は明日は二限からでゆっくりです。それに鍵を忘れてった人に早く寝ろなんて言われたくないですね。起きて待ってないと先生、玄関外で寝ちゃいそうだし。」
「へいへい、解ったよ。……ったく、口だけは達者だな。」
と顔を顰めているが、本心から嫌がっているようではなかった。
世良は酔い覚ましの水をコップに持って来て渡海に手渡した。その時、ふわりと甘いコロンの香りがした。
「……女の人と一緒だったんですか?」
世良は思わず聞いてしまった。渡海がモテるのはよく知っている。大学でも女子が密かに騒いでいるのを何度か耳にしたことがある。
「ん?ああ、クラブに行ったからな。」
悪びれない渡海に、世良は内心で歯ぎしりをした。
―――どうして先生は俺だけのものじゃないんだろう。
それが子供じみた独占欲だなんて充分承知していた。
世良は渡海が好きだった。気付いたら恋い焦がれていた。……抱きたいと思った。
男同士だって構わないと本気だった。
ただ一つ。義兄弟という事が世良を止めていた。
でも今日はコロンの香りが気に入らなかった。移り香がするほど女性が接近したのかと思ったら頭に血が上った。
渡海の両肩を掴み押し倒した。酔った身体は意外と簡単にソファに沈んだ。
「…せん、せい……先生………」
世良は激情で言葉にならない。言いたいことはたくさんあるのに喉に絡む。
「…何だ?言いたい事があるならはっきり言え。」
渡海の暗い瞳が世良を射抜く。その瞳の強さに耐えられず、世良は渡海の胸に顔を埋める形になった。
「俺…先生のことが……好きで……」
「……。」
「先生と…その……寝たくて……抱きたく‥て…… でも、兄弟‥だから……」
「………。」
痛く長い沈黙が続き、先に耐えられなくなったのはやはり世良だった。静かに渡海の上から退いてリビングのドアまで後退した。
「ごめんなさい、先生。義理とは言え兄弟なのに…言ってはいけない事を言いました。…明日にでも家を出ますから。」
そう言って世良は部屋を出て行こうとした。きっと呆れているに違いないし、軽蔑しているだろう。
これ以上一緒に暮らすことは出来ないと思い詰めた。
「ばーか。何で一人で勝手に自己完結してやがる。」
渡海は何事もなかったように呼び止め、情けない顔を向ける世良を見て苦笑している。
「まぁ…お前の気持ちは薄々感づいてたさ。伊達に年食っちゃいないからな。」
世良はその言葉に真っ赤になった。気付かれていたなんて…恥ずかしい。しかもその様子を黙って見ていたなんて悪趣味だ。
「そんなとこで突っ立ってちゃ話も出来ない。……ほら、おいで。」
渡海は隣に座るよう促し、世良もそれに大人しく従い微妙な間隔を空けて座った。
「…ったく、しょうがないヤツだな。」
渡海は空けた間隔を物ともせずに腕を伸ばして世良の頭をくしゃりと混ぜた。
「…先生は‥その、気持ち悪くないんですか?…義理の弟が…こんな事言い出して。」
答えが怖かったが、世良は聞かずにはいられなかった。あんな事を言ったのに、何故ここまで優しくなれるのか。
渡海は唐突に言った。
「なぁ、良いことを教えてやろうか?」
「え?」
渡海は世良の方へ身を乗り出して囁いた。
「俺達が、血の繋がりのある兄弟だなんて誰が言った?」
「……な…?」
世良は耳を疑った。渡海はにやにやしながら世良の様子を窺っている。
「だっ‥て……先生のお父さんが『今日からお前の父親だ』って……」
「そりゃ、未成年のお前を引き取るんだから父親代わりだって意味だろ。第一、親父は女に子供を産ませておいて放っておくような男じゃない。それくらいには身内を信じてやりたいね。」
「じゃあ…俺達は……赤の他人……?」
世良の肩から力が抜けた。そして唐突に思い当たった。
「もしかして…先生が俺を名字で呼ぶのって…。お義兄さんて呼ばせないのって……。」
「今頃気付いたか。って、知らなかったんだもんな。」
渡海は静かにクツクツと笑った。
―――他人だった。先生と血の繋がりは…無いんだ。
世良の中で一番高い、越えられなかったハードルが消え去った。残ったハードルはそれに比べれば遙かに低い。
「先生!」
世良は渡海に抱き付き、渡海もそれを拒まなかった。
「……好きです、先生の事が。」
今度はハッキリと告白した。しかし渡海の答えはない。その代わり……
渡海は世良の唇を素早く掠め取った。
「!! えっ?! な、何っ!!」
慌てる世良を尻目に渡海はさっさと立ち上がってしまう。そして部屋を出る時に
「頑張ってイイ男になりな。そうなったら考えてやる。」
と言い残して自室へと行ってしまった。残された世良はただただ驚いて放心するばかりだった。
「仕方ないよなぁ…世良ちゃんが相手だもんな。」
部屋を出て渡海が呟いた言葉が楽しそうだったのを、世良は知らない。
義兄弟とみせて、このオチはどうなんだろう?これを義兄弟ネタと呼ぶのは無理があるのか?
疑問がいっぱい;;
やっぱりパラは設定が難しい…