あの人はワンコだと思う。洋犬じゃなくて、凛々しい日本犬。
行灯センセーは…ネコほど気まぐれじゃないし、やっぱワンコか?
世良ちゃんは絶対にワンコw もう耳と尻尾が目に浮かぶ。渡海センセーを見るとまっしぐらw尻尾がブンブンw
渡海センセーはツンデレなお猫様で決定w
以下にイヌ耳将軍の小話を投下しています。
相変わらずなバカ話;;
拍手パチパチ、ありがとうございます!!
万年床のせんべい布団だが、腕の中には最高の抱き枕。
決して柔らかみは無いが、安心感の固まりはこの上ない癒しだ。
腕の中で眠る抱き枕…田口を抱え直せば目が覚めてしまったらしい。
「…ん……?」
「ああ、悪い。起こしたか?」
腕の中から見上げるとろんとした寝ぼけ眼がちょっと色っぽい。更に首筋に付けた情事の跡を見てしまい…これは身体に悪い。(特に下半身に)
今はまだ夜明け前。この時間なら寝ぼけてもまたすぐ寝込んでしまうはずなのだが、その寝ぼけた瞳が段々と覚醒してきて…終いにはぱっちりと見開かれて驚きの形相に変わった。
「なっ!…お前、耳っ!?」
「へ?」
「頭っ!!!」
「は???」
布団から引きずり出され、何の事やらさっぱり分からないまま洗面所の鏡に前に立たされて。
その中に映った俺の姿は…
俺は恋人の前で、奇妙な叫び声とマヌケ顔を晒す羽目になった。
「その耳って…どう見たってイヌだよな?しかも日本犬。柴犬とかそんな感じかな?」
この事件で夜明け前にすっかり目が覚めてしまった俺達は、取りあえずコーヒーを入れて落ち着くことにした。
が、しかし…田口はこの訳の分からない状況が楽しそうだ。俺の意味不明なイヌ耳を触ってはニヤニヤしている。
「普段憎たらしいお前がコレひとつでだいぶ可愛く見えるもんだ。コスプレマジックだな。」
―――おいおい。このデカイ図体の男にこんなモンがくっついて可愛いのか?お前がネコ耳とか付けた方がよほど可愛いぞ?
ひどく不本意な俺のことなどどこ吹く風だ。
ところが。
―――ん? 何だ?何かいい匂い……
発生源は田口なのだが、その香り方がハンパじゃない。
今までに経験のない香りだが、でも決して不快では無い。むしろヤバイくらいにクラッとするような…まさに『色香』そのもの。
健康な成人男子の朝にこの香りは…刺激的過ぎるくらいだ。 ―――いや、すでに下半身直撃だった。
どうやら嗅覚までもイヌ化しているようで、田口の放つ『情事の残り香』がいつもより倍増して感じられるらしい。
そんな状況で我慢が利くほど俺は人間が出来ちゃいない。田口をそのまま床へと押し倒した。
「は、速水??」
「行灯…いい匂い……」
「は?」
彼の首筋に顔を埋めると、昨夜付けた紅い印がに艶めかしい。そこをペロリとひと舐めすると、田口はくすぐったそうに小さな声を上げた。
両頬を舐め、唇を舐め…本当に犬になってしまった気分だ。
「やっ…速水っ……も‥朝…だか‥ら…… 仕事…あ‥るし……」
抵抗する彼の四肢を押さえ込むと、怯えたような瞳で見返された。しかしこの『発情』は止まれそうにない。
「な…ちょっとだけ……」
「やぁ…だぁ……」
Tシャツをたくし上げ、胸から脇腹を弱いところを愛撫する。更に下半身に手を伸ばして敏感な部分を揉みしだく。
田口の身体が跳ねた。
「一回だけ…させて?」
「…だぁ……めぇだって…」
「お願い…」
身を捩って嫌がっていた彼の両腕が何かを求めて動き出し、俺はよし!と思って束縛を緩めた。
両腕が上げられ抱き付かれる…と思った瞬間。
「この、起きやがれっ!変態ケダモノ野郎っ!!!」
俺は後頭部に衝撃を受けて、意識がブラックアウトした……
「……やみ …速水?」
「…っう ……あん‥どん?」
「大丈夫か?」
「………。」
意識が覚醒して目をしばたいて状況を確認する。
ここはいつもの万年床。そして…俺の下には田口がいてパジャマ代わりのTシャツがめくれ上がっている。彼の視線は心配そうにしながらも冷ややかさがこもっている。そして何故かいつも枕元に常備してある目覚まし時計を握っていた。
俺は慌てて田口の上から飛び退いて、頭を触って見るが別に何ともない。いたって普通に髪の毛があるだけだ。ただ…後頭部が痛い。
どうやら夢を見ていたようだ。
「速水。今何時か分かってるか?」
そう言って突きつけられた目覚まし時計は午前4時を少し回ったところ。いつもなら二人で白河夜船の真っ最中だ。
「……悪い。」
「驚いたよ。何か寝返り打ってるなぁって思ったら突然ガバッと来てさ…。俺が嫌がるのに聞かないでどんどん…その……仕掛けて来るし……。強姦と変わらないぞ?」
「そ、そんなつもりはっ!」
「じゃあ、どんなつもりだ?」
「や…そ、それは……(大汗)」
恋人は貴重な睡眠を邪魔されてかなりご立腹だ。ここは正直に言って謝り倒すのが得策だろう。
俺は観念して、あの馬鹿げた夢の話をした。
「速水にイヌ耳ぃ~!?」
田口はぶっと盛大に吹き出した。普通なら笑い転げて収拾がつかない場面だが、田口の反応は違った。
呆れ返って、嘆かわしい顔をして額をおさえている。
「行灯?」
「じゃあ俺は夢の中でイヌ化して発情した速水に強姦されそうになったワケだ。―――よかった、目覚ましでぶん殴って起こして。」
「や、だから強姦じゃ…」
「俺は嫌がったんだから、和姦じゃないことは確かだよな?」
寝ぼけていたとはいえ手を出したのは事実なので強くは言い返せない。
「ったく…昨日の夜だって散々ヤったくせに。だからしっかり眠って仕事行きたかったのに、こんな時間に起こされてさ。―――そんな夢見るなんてどこまで絶倫なんだ?」
田口の怒りは未だ解けない。いつになく毒舌なのは寝不足だからだろう。
「罰としてしばらく禁欲。」
「そ、そんなぁ~」
笑顔であっさりと言い放たれた残酷な制裁措置に、俺はついつい情けない声が出てしまった。そして思わず小声で本音がポロリ。
「……お前の方が我慢出来ないんじゃないか?」
「おい!聞こえたぞっ!!失礼なこと言うなっ!この万年発情男!!」
余計な地雷を踏んでしまい、田口の顔は更に険しくなった。
機嫌を損ねて布団の中で丸くなる彼のシルエットの向こうで、夜明けが近付いて空は曙色に染まっていた。
まさかの夢オチ…(逃亡)