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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
No.
2025/07/07 (Mon) 02:49:43

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No.61
2010/09/03 (Fri) 15:53:06

暑さで自分がゆらゆら。
日中、買い物に出ると、熱気で視界がゆらゆら。
脳内で渡海センセーがゆらゆら……

朝から某サイト様で素敵な世良渡海を読んでしまって、いろんなモノがゆらゆらしっぱなしです。
……ダメな大人の見本。
ダメついでに、行灯将軍の原稿も徐々に進み、遠くに着地点が見えて来ました。
勢いでゴールして、推敲に時間をかけよう。


さて、今日は軽めの将軍行灯SSを投下。
有名銘菓がお題のお話です。

拍手[6回]


危険なお菓子


「おーい、行灯!コーヒー飲ませろ!」
「コーヒー飲みたきゃ自販機で買え。」

時は深夜に近い。場所は当然病院の最果て、愚痴外来。
この掛け合いはいつ聞いても阿吽の呼吸だ。
しかし速水はすでにソファにどっしりと座り、田口は会話とは裏腹にカップを用意してやっている。

「ん?何だ、今日のお供え物は?」
テーブル上にはきれいに包装してある箱がひとつ。
「お供えって言うな。食わせないぞ。」
「医者が患者から菓子折りとかもらって良いのかよ?」
「…お前がたまにまともな事言うと気味悪いな。」
ずいぶんと失礼な言いぐさである。
確かに病院内の掲示板には『職員への差し入れはお断り』と貼られているが…。
「まぁ、ここは一種の治外法権だもんな。来れば小腹が満たされて俺には都合がいい。さすがに飴じゃ腹が膨れない。」
速水にとっては美味しいコーヒーが飲め、日替わりの菓子が楽しめて、愛しい田口の顔が見られるのだから有り難いことこの上ない。
病院の聖域、治外法権バンザイだ。
「ったく。ここは喫茶店じゃないんだが…」
ぶつぶつ文句を言う田口だって、本当は口ほど嫌がってはいない。
もちろんそれは速水限定だ。
なかなか逢瀬もままならない、二人の大事なコミュニケーションの時間なのだから。

「開けるぞ、コレ。」
「ああ。」
くるりと包装を剥くと出てきたのは……
「お、○○の銘菓だぜ。これって美味いよな。」
速水が田口に箱ごと差し出した。その中身は。

某県が誇る、お土産の定番銘菓。『うなぎパイ』だ。
しかも3種類入っている。

『昼のお菓子・しらすパイ』
『夜のお菓子・ウナギパイ』
『真夜中のお菓子・うなぎパイVSOP』

「……。」
「………。」
菓子に罪はないが、田口はこの沈黙が何となくいたたまれない。
しかし速水ときたらうなぎパイをひとつ取り上げてにやりと笑う。
「この菓子のネーミングって、意味深だよな?」
「…意味深に考えてるのはお前だけだろ。」
「そうかな、行灯クン?」
速水の投げかけるいたずらな瞳は心臓に悪い。男の色気と、からかいを含む視線と仕草が田口を絡めとろうとしている。
思わず顔に熱を帯び、それを悟られないよう慌てて顔を背ける。

「ほら、これ一杯飲んだらさっさと帰れよ。」
「せっかく深夜に二人きりなのにつれないな。」
菓子折りに入っていた説明書きを眺め、速水がぶつぶつ言いながら頬張るのは真夜中のお菓子。
田口も釣られて手を出したのは昼のお菓子だ。
「…お前も真夜中食えよ。」
「いいだろ、何食ったって。」
「俺の気持ちを察しろ。」
「バカか?」
短い言葉でバッサリ切ると、速水は不満顔でちょっと落胆する。
物は言わず視線だけで訴える、駄々っ子将軍の降臨だ。
実は田口、この顔にちょっと弱い。普段とのギャップに心がくすぐられる。
そして結局は妥協してしまうのだ。
「…キスだけな?」
田口が諦め顔で言えば、速水は喜々としてにじり寄って頬に手を添えてキスをする。

好きなだけ唇を蹂躙し、耳、首筋へと……

「ちょっ…ま、て キス、だ…けって……」
「うん、キスしかしねぇ。でも口だけとは言ってねぇからな。」
いつの間にかソファに押し倒されている。
これ以上は危険だった。丸裸にされて全身にキスしそうな暴走っぷりだ。田口だってその気は無くとも、いろいろと高ぶってしまう。
田口のシャツのボタンに速水が手をかけた時…

ピピピピッ ピピピピッ

速水のPHSが鳴り響いた。
行儀悪く舌打ちし、イタズラな手を止めて応答すると駄々っ子の面影は霧散して、颯爽とした将軍に変わる。
「残念…行くわ。」
ちょっとだけ名残惜しそうに、今度はひどく優しいキスを田口に贈った。
過ぎた熱を持て余す田口はソファにもたれてされるがままだ。
「んな色っぽい顔すんな。最後までヤりたくなる。」
「…っ、誰がっ!」
「今週末は休みにしたから『フルタイム』で可愛がってやるよ。楽しみにしてな。」
危険で艶のある笑顔を残して速水は扉の向こうへ消えた。

「……バカ速水が。」
ようやく高ぶりが収まった田口が大きく嘆息する。
何度も言うが菓子に罪はない。
しかしこれからは出しておく菓子は一応選ぼうと心に誓う。
テーブルに出しっぱなしの菓子を仕舞おうと箱を手に取ると、さっき速水が読んでいた説明書が目に入る。
どうやら姉妹商品やセット商品の説明らしい。
その中の一つが目に留まった。

『セット商品:フルタイム』
朝のお菓子・すっぽんの郷
昼のお菓子・しらすパイ
夜のお菓子・ウナギパイ
真夜中のお菓子・うなぎパイVSOP

あの体力バカ!朝から夜中までなんてつき合えるかっ!!

オレンジの将軍は有言実行の人だ。
田口は週末にむけて危機回避の方法に頭を悩ます羽目になってしまった。
 


本当にこのセットあるんですよv すっぽん(しかも朝!)にウナギ…どんだけ精力つけることやら(笑)
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首都圏に棲む主腐…もとい主婦。家庭内における肩身の狭い『隠れ同人』。
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