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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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2025/07/07 (Mon) 00:17:44

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No.179
2011/02/14 (Mon) 10:18:37

ウチの旦那とは、お付き合いと結婚生活を足すと結構長い付き合いです。
そうなるとバレンタインなんて行事はスルーですよ。
しかし!今年はしょうどんに当てられたのか(笑)、チョコチップとクルミ入りのパウンドケーキなんかを朝から焼いてしまった。

しょうどんLoveパワー、恐るべし!!
110214_093155.JPG

昨日はカウンターの回転が速くてびびった。皆さんバレンタインSSを期待してたのかしら;;
それだったらごめんなさい。
最近は旦那のパソ占領時間が長くて、ポメラから移植&サイトUPまでが一気にできないんですよ。

ということで、どうにか仕上がったバレンタインSS。ツッコミ処満載なのは今更の仕様なので、さらっと読んで下さい。

拍手パチパチもありがとうございますw

以下からSSですww

拍手[12回]



ハッピー・バレンタイン


今年の2月を速水はちょっとだけ期待していた。
付き合い始めてからやって来る、初めての2月。と言えばバレンタインの季節だ。
やはり好きな相手からはどんな形でもチョコは貰いたい…と言うのが男心。それが例えコンビニのチ○ルチョコだったとしても、田口から貰えるのなら喜びもひとしおだ。
そんな淡い期待を抱いて、速水は少し早いが探りを入れるべく愚痴外来に足を運んだ。
どんなものでも…とは思っても、ソレが気になるのも恋心の為せる技。不惑近くになってもそんなことで心が躍るのだから恋心は偉大だ。

「なぁ、行灯。もう2月だな。」
「ああ、そうだけど…。」
ものすごく素っ気ない反応に速水は床にのめり込む勢いでがっかりした。昔から鈍かったが、それにも程がある。
「2月って聞いて何か忘れてないか?」
「え?何かあったか?」
田口は腕を組んで首を傾げ、しばらく悩んだ後のあっと小さく叫び手を叩いた。
「ああ、バレンタインか。」
「そうそう、それだ。」
速水は嬉しそうに、かつ満足げに頷いた。
「そうか、そんな季節かぁ。俺は義理しか貰った試しがないからな。…今年も凄そうだな、お前は。」
そう、学生時代から速水のもらうチョコレートの量はなかなか壮観だ。社会人になって数は減ったが、それでも病院内ではトップクラスだろう。
「まぁ持ってくる子はいるだろうが、今年は義理でも受け取らない方針だ。」
「何で?」
「だって本命がいるんだからな。例え義理で貰っても返答は出来ない。」
速水はきっぱりと言い放った。しかし肝心の田口は不可解な顔つきをしている。速水にはその方がよほど不可解だった。
「何でそんな顔してる。」
「いや…だってさ……」
田口はちょっと困ったように頭を掻いて、とんでもない事を言い始めた。

「だってバレンタインてチョコを渡して『告白』するもんなんだろ?俺たちはすでに告白済みだから関係無いんじゃないか?」

「へ?」
速水は思わず間抜けな声を上げてしまった。
「だから、告白して行くとこまで行ってるだろっ。」
田口は見当違いも甚だしい部分を強調して顔を赤くしている。
田口の意見は正論だ。それは確かに正しいバレンタインの姿だろう。
しかし今やバレンタインは国民的お祭り行事で、恋人同士はもちろん義理から友達、最近は自分チョコまである時代なのだ。
それを田口は……
「お前、本気かよ?」
速水が目を丸くしたところで無情にもPHSが鳴り響いた。
「はいよ、わかった。すぐに行く。」
オーダーを指示して通話を切ると、素早く部屋を横切って「じゃあな!」と挨拶もそこそこに出ていってしまった。

呼び出されれば、風のように行ってしまうのはいつものことだから驚きはしない。
しかし残された田口は溜め息をついた。
さっきの発言…あれは半分は冗談だ。もう半分は掛け値なしに本気なのだが。
『不惑に近い男がバレンタイン用のチョコなんて買いに行けるか!』と言うのが本音だ。それにそんなに形に拘らなくても良いとも思う。
しかし速水は欲しいようだ。やっぱりもらい慣れている者とそうでない者の価値観の差なのだろうか?
―――チョコひとつで後々喧嘩になるのも馬鹿らしいし、大人げないよな。
そう考えた田口はもう一度小さく嘆息した。


その日の帰り、田口は駅前のデパートに立ち寄った。
取りあえずバレンタイン用にどんなチョコが売っているのか見てみようと思ったのだ。
しかし売場に行って早々に後悔した。
煌びやかなディスプレイと、綺麗にラッピングされたチョコレートの山。そこへもって女性達の並々ならぬ熱気と気合いに圧倒されてしまった。
―――す、すごい……
こんな状況の中に入って行けるほど田口の心臓は強くない。当然売場手前で二の足を踏んでしまった。

「あら、田口先生?」
「え?」
突然声をかけられて振り返ると、見知った顔が立っていた。確か内科の看護師で、不定愁訴外来へ何度も患者を連れて来ている子だった。
「どうなさったんですか、こんなところで?」
確かにいい年した大人の男がバレンタインギフトの売場をぼーっと眺めていれば悪目立ちしていた。
「あ…いや、ちょっと別の階に用事があって来たんだけど、凄い熱気に驚いてたんですよ。」
まさかチョコを見に来たとは言えず、平凡な嘘をついた。
それには気付かず、彼女は笑いながら「女の子はイベント好きですもの。」と自分で買った袋を見せた。
「こっちは院内用義理チョコ…あ、田口先生のところにも内科の看護師一同から届きますから。で、これは業者さんへ。あとは本命用と速水先生用を買うんです。」
「え?速水と本命は違うの?」
「そりゃ本命が速水先生って子もいますけど。速水先生はあくまでも憧れで、義理とは一緒くたに出来ないから別口で買う人もいるんです。」
「へぇ……」
「だって速水先生は高嶺の花ですもの、到底手が届きません。それならちょっと手間ヒマ掛ければ手の届く花を選びますよ。」
女性と言うのはかなり現実的な見方をするものなんだ…と、田口は感心してしまった。ロマンチックなのは意外と男の方なのかもしれない。


結局あの女性のみの修羅場に分け入る勇気はなく、すごすごと退散するしかなかった。
「ふぅ…参ったな。」
先ほどの看護師の言葉が蘇る。
『速水先生は高嶺の花だから…』
その花を今独占しているのは自分だ。そう思うと何かしらあげないと悪い気がしてきた。
早々にデパートを出て家に帰る道すがら、商店街でドラッグストアに立ち寄った。特に何の気なしに入ったのだが、店頭でふと目についたものがあった。
―――これくらいなら……
これなら買うのに抵抗は少ないが、やはり手に取るのは躊躇してしまう。
それでもいろいろと心の折り合いをつけて、他の日用雑貨と一緒に混ぜて会計した。


そして14日。
日付が変わる30分ほど前に、速水は愚痴外来にやって来た。
「お、まだいたな?」
「ああ、今日は宿直なんだ。」
「また変わってやったんだろ?」
そう言われると、田口は苦笑しながら頷いた。イベントや行事の時、頼まれれば宿直を変わってやるのが独り身・田口の恒例になってしまった。その代わりにシフトは多少の融通をきかせてもらう事になっているのが暗黙のルール。
まぁ、恋人が同じ病院内にいるのだから今日みたいな時は好都合だ。

「どうにか今日中に間に合ったな。」
田口がデスクの引き出しから、紙袋を取り出して速水に突き出した。
「ほら、やるよ。」
「……マ、ジ……で?」
「何だか失礼な言い方だな?」
「いや…あの時の反応から、あんまり期待してなかったし。」
そう言いながら、速水の表情は嬉しさを隠しきれない。いそいそと紙袋を開けて中身を取り出した。
「これって…?」
出てきたのは何故かリップクリームだった。
「何だ?」
「お前、冬場に唇が荒れる時あるって言ってただろ?」
「確かに言ったけど…何でこのタイミングなんだよ?」
「それ、チョコレート味らしい。バレンタインと荒れ防止で一石二鳥だ。」
田口はニッコリと笑った。

速水はもらったリップをしげしげと眺めた。
薬用リップとは明らかに違う可愛らしいパッケージ。女性が買うなら違和感は無いだろうが、田口はこれをどんな顔をして買ったのだろう。
どんな物であれ、自分の事を考えながら選んでくれたと思うと速水の頬は緩んでしまう。

「…サンキュ。さっそくつけてみるか。」
しかし速水はリップを開けたところで、ふと思いついた。
「おい、行灯。」
「ん?」
「ちょっと。」
ひょいひょいと手招きをすると、田口は首を傾げながらも速水の近くに寄った。
するとぐっと引き寄せられて…
「えっ?!」
速水は田口の顔を上げさせて、たった今もらったリップを田口の唇に塗った。
そして、すかさずそこ自分の唇を重ねた。

チョコレートフレーバーの甘いキス……

最初は抵抗していた田口も、結局は速水の巧みなキスに翻弄されてすがりつく形になってしまった。
「ごちさうさんw 極上のバレンタインチョコだ。」
速水はにんまりと笑って、もう一度軽く唇に触れた。
「……馬鹿!」
ちょっとだけバツの悪い田口は渋面を作って不機嫌な振りをする。ぺろりと唇を舐めるとチョコフレーバーが甘ったるくて、また顔をしかめた。
唾液で濡れた唇が速水を誘っているようだ。
「…よし、決めた!」
速水は唐突に叫ぶとPHSを取り出した。
「あ、佐藤ちゃん?俺、1時間くらい休むから。まぁ、何もないと思うけど、緊急時になったら呼べよ。」
と、暴君ぶりを発揮して休憩をもぎ取った。


この後、チョコレート味の田口を堪能してキッカリ1時間後に上機嫌でオレンジに戻って行ったのは言うまでもない。
 


行灯にチョコリップを買わせて乙女仕様ししてしまった;; 果たしてこのリップ、塗られたのは唇だけだったのか……(以下、自重)
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