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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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2025/07/07 (Mon) 06:34:32

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No.168
2011/01/22 (Sat) 22:40:51

来週はあまりパソが使えない事実に気付いた…;; なので週末に繰り上げUPw
本日の更新は5000HitリクSSです。
お題は『佐藤ちゃんから見た将軍行灯』です。
Yさま、お待たせ致しました。ご笑納頂ければ幸いですww

え~、今回のSSは勝手ながら600Hitキリリクの『周りからはバレバレな相互片思い→馴れ初め話(医者になってから)』の続きとさせて頂きました。
左側カテゴリー内の【リク小説】から過去ログで600HitのリクSSを再読して頂けると分かり易い内容だと思います。

では以下からどうぞw


拍手パチパチもたくさんありがとうございますw

拍手[13回]



恋のその後~ 佐藤先生の災難


―――最近の速水部長はご機嫌だ。その理由を僕は…いや、僕だけは知っている。
ああ、本当にありがとうございます、田口先生!
愚痴…もとい、不定愁訴外来に足を向けて寝られないほど感謝しています……。

救命救急センターのナンバー2、佐藤は心底そう思っていた。
速水の挙動不審から解放されて数ヶ月。食べ掛けのチュッパチャップスを無闇に投げつけられる事も、必要以上の怒号を聞かされる事も無く、みんな安心して働く事が出来る状況に改善された。

速水のご機嫌の理由は、意中の人だった田口と想いが通じ合った事だ。
行きがかり上、佐藤が後押しをする形になってしまったので安堵もひとしおなのだ。

―――あの時の部長は尋常じゃなかったからなぁ。田口先生には申し訳ないけれど、オレンジ可愛さに人身御供になってもらう気持ちもあったな。

今ではあの時に部長にハッパを掛けて良かったとすら思う。
その後の二人の様子をさりげなく見聞きすると、『ああ、ちゃんと好き合ってるんだ。』と思えて佐藤は妙な罪悪感に駆られずに済んだ。
そしてあの暴君を恋人に出来る田口の懐の深さに感動し、お地蔵様の異名もあながち嘘じゃないと感心してしまった。
『部長は子供っぽいところもあるから、きっと田口先生が大人の対応で上手くあしらってるんだろうなぁ』
などと、勝手に妄想する佐藤であった。


ある日、佐藤がオレンジ内を歩いていると田口を見かけた。
「田口先生!」
声を掛けると田口に柔らかい物腰で挨拶され、佐藤の田口に対する好感度が更に上がる。
「小児科に用事ですか?」
「ええ。相変わらずこちらは忙しそうですね。」
先ほどサイレン音が立て続けに飛び込んで来たのを田口は聞いていた。
「まあ、いつもの事です。部長の適切な処置で患者も助かりましたよ。」
「それは良かった。何よりですね。」
田口は安堵しながらゆったりと微笑んだ。

―――ああ、この人って本当に患者を心配してるんだ。
別に佐藤が薄情なワケではない。担当でもない田口が心から患者の安否を心配し、助かったのを喜んでいるのが分かったので素直に感心しているのだ。
態度や表現など違いはあれど、田口も速水も患者優先に考えている事に違いは無かった。
そう思うと二人は恋人であり親友であり、そして同士でもあるという固い絆で結ばれているんだろう…と佐藤は漠然と思った。
―――僕もこんな理解のある運命の人に出会えないかなぁ?
と少し羨ましかった。

「よう、行灯!珍しいな!」
速水が颯爽と現れ、さりげなく田口の肩に手を回した。すると田口の顔が赤面と渋面で複雑になる。
「おい…」
と一言だけ呟いて、速水の手の甲を叩きさっと身を離そうとするが、それを許す速水ではない。
笑いながら更に回す手に力を込めた。
「速水っ、ふざけるのもいい加減にしろっ!!佐藤先生の前だぞ!」
「たまの息抜きだからいいだろ?なぁ、佐藤ちゃん?」

―――いや、俺に振られても困りますから……
田口は真っ赤になって怒ったり困ったり…そして感情の大部分は羞恥であることに間違いない。
佐藤は二人の関係を承知しているから目のやり場に困るだけで済むが、田口はそういった事情は知らないから佐藤の前でベタベタと速水にまとわりつかれるのは生きた心地がしないだろう。
でも……
田口が本気で嫌がればもっと強い実力行使をしてもいいはずだ。意外と田口もこういったコミュニケーションを楽しんでるのかもしれない。
それを見越して速水もイタズラを仕掛けるのだろう。
―――もしかして…ちょっとバカップル?
佐藤は目の前で繰り広げられる攻防戦にそこはかとない甘さを感じ、『信頼し合っている恋人達』という像を微修正した。
この時はまだ、微笑ましさを感じるだけだった。


そしてまた数日後。今度は満天で三人は遭遇した。
「あれ?救急センターのツートップが一緒に席を外して大丈夫なのか?」
田口が問えば
「たった今、修羅場が終わったところだから飯食う時間くらいは大丈夫さ。」
と速水が太鼓判を押した。こういう時の速水の勘はよく当たるので、佐藤も信頼して誘われるまま一緒に来たのだ。
ちょうどテーブルに空きが出来て、三人は一緒に座る。
「お前、うどんばっかりだなぁ。」
「ばっかりじゃない。昨日は焼魚定食だったぞ。」
言い合いが子供みたいで、端で聞いている佐藤はうっかりと出そうな笑いを堪えるのが大変だ。
三人で他愛もない日常会話をしながら食事を進めるが、救命チームと田口では食べる速度が全然違う。速水と佐藤はガッツリ系の定食を素早く綺麗に平らげて行く。
どんぶり飯をかき込む速水を見ながら田口は苦笑していた。
そして食べ終えて席を離れようとした時に事件は起こった。

「あ…速水。」
「ん?」
田口がちょいちょいと手招きをした。それに釣られて速水が顔を田口の方へ突きだし、更にそれを佐藤が何の気なしに眺めていた。
「飯粒が付いてるぞ。」
「え、どこだ?」
速水の頬に確かに一粒付いている。しかし本人は見えないので、見当違いの所を触っている。
「仕方ないな。大きな子供だ。」
田口は笑いながらおもむろに手を伸ばした。

そして頬の飯粒を摘み取ると、それを……食べた。

「!!!」
傍らでぼんやりとやり取りを見ていた佐藤はぎょっとした。
―――何っ?!何、何したの、この人!!
佐藤は信じられないモノを見た気がした。幻かもしれない。激務で疲れて白昼夢でもみたのかもしれない。
ここは昼食時の食堂の一角。当然周囲に大勢の人がいる。
佐藤は隣のテーブルに座る看護師グループに目をやった。すると、目があった瞬間にさっと顔を伏せられた。振り返って後ろのテーブルにいた職員を見ると慌て視線を逸らされた。

多分…近辺の人々は目撃したのだろう。
と言うことは、幻でも白昼夢でもない現実だったのだ。

佐藤は何故かいたたまれない気分になった。自分がしでかした訳でもないのに、気まずくて恥ずかしい。
しかし当事者達は何とも思っておらず、機嫌良く談笑している。
―――田口先生…ナチュラル過ぎます。
きっと普段からやっているから気付かないのだろう。
百歩譲って速水が多少惚気るのは仕方ないと思う。でも田口までもがこんなに天然に見せつけるとは思いも寄らなかったので、精神的なダメージはかなり大きい。
佐藤の中で『わがままな恋人を大人の対応で受け止める寛大な人』という田口のイメージと『固い絆で結ばれた信頼し合える恋人同士』という理想像がガラガラと音を立てて崩れていく。

―――これじゃ、正真正銘のバカップルだ……。しかも天然だからタチが悪いんじゃないか?
あの時後押ししたのは果たして正解だったのだろうか?
自分は飛んでもないバカップルを世に出してしまったのではないかと、一人こっそりと悩むのだった。
 


バカップルはナチュラルが一番萌えますw
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首都圏に棲む主腐…もとい主婦。家庭内における肩身の狭い『隠れ同人』。
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