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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
No.
2025/07/06 (Sun) 20:26:29

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No.230
2011/07/06 (Wed) 11:26:23

まるで春のパ/ン祭りみたいですが、最近は暑くてグッタリとした色気だだ漏れの渡海先生が頭から離れません。
こまったえろ医師ですww

取りあえず、色気はあまりないけどSSをUP。
ちょい時期がずれましたが、紫陽花+世良渡海のお話です。

注意が2つほど。
今回はオリキャラが出てます。名前も無い女性ですが、そういうのが苦手な方の為に念のため書き添えておきます。
もう一つ。途中ちょっとだけ、あっはんwな部分がありますが、そんなにモロ出しな表現ではないのでR指定は付けませんでした。
念のため、背後にご注意を。


ちょっと長めですが以下からどうぞ。
あ、タイトルが演歌みたいですが、そこは突っ込まないように!

拍手[5回]




あじさい慕情


「おい、ちょっと来い。」
医局にいた世良は唐突に渡海に呼びつけられた。その口調には僅かに苛立ちが含まれているように思われる。
「…おい、お前なんかやったのかよ?」
隣にいた青木が小声で囁いた。世良も首を傾げながら「さあ…?」と答えるしかない。
実際心当たりは…無きにしもあらず、と言ったところだ。

昨晩は渡海を抱いた。久しぶりだったので、若い世良はついついがっついてしまい、最後は鳩尾に蹴りを食らってお終いという少々情けない逢瀬の幕切れだった。
しかしそれしきの事を翌日に引きずるような男ではない。先ほどまでは至っていつもの渡海だったのだから。
世良は疑問を抱えたまま、彼の根城へと足を運んだ。

「…これ、見ろよ。」
世良が部屋へ入ると渡海は、テーブルの上にぽいと何かを投げ出した。
それは青紫色をした20センチほどの……
「あじさ、い…?」
「さっき昼飯から戻ったらそいつがここに置いてあった。」
「はぁ…」
そうとしか答えようがない。しかし渡海の部屋に忍び込んでに花を置くとは…酔狂な事をする人がいると思ってしまった。
「まさか…俺を疑ってるんじゃないでしょうね?」
「お前はそんなまどろっっこしい事はしないだろ?」
世良の問いに渡海はにやりと笑う。
「お前じゃないなんて分かってる。だから、誰の仕業か調べて来い。」
「えっ!俺に探偵やれって言うんですか?!冗談じゃないですよ。そんな暇ありません!」
「じゃあ、暇を作れよ。」
「何言ってんですか?馬鹿も休み休み言って下さい!」
世良が盛大に文句を言い放ったところでノック音が響いた。ドアから顔を覗かせたのは高階講師だ。
「お話中済みませんが、用件が終わったら世良君をお借りしたいんですが。」
「あ、もう済みましたから一緒に行きます!じゃあ、先生失礼します。」
世良はここぞとばかりに席を立ってさっさと出ていってしまった。

「…ちっ、権太のやつ。」
行儀悪く舌打ちをしてソファに寝転がった。そして改めて紫陽花を弄ぶ。
花を置いて行くなんて…女の仕業だろうと推測する。確か花言葉は『心変わり』とかそんなだったと思う。
「…院内の女になんて手ぇ出してないぞ?」
職場の女性には言葉ではちょっかいを掛けるが、手を出したことは一度もない。関係を持ってしまったのなんて…世良だけだ。しかも男だなんて……

ふと昨日の情事を思い出して苦笑してしまう。
若い、と思う。年齢や体格、セックスの内容だけでなく、すべてにおいて若くて眩しい。自分が年老いているとは思わないが、世良の真っ直ぐな若さと情熱が渡海には微笑ましかった。
恋なのか、愛なのかを問われると曖昧だが、世良の事は気に入っている。過ごす時間も嫌いではない。……求められるのは悪くはなかった。

渡海は手にした紫陽花を、無造作にゴミ箱へと放り投げた。


「何かお手伝いでしょうか?」
今日は高階の回診は済んでいる。わざわざ呼びに来るなんて、急な仕事でも入ったのだろうか?
「あ、いえ…お節介ですよ。」
「え?」
「たまたま部屋の前を通りかかったら君の大声が聞こえたからね。また渡海先生に無理難題をふっかけられたのかと思ってつい、ね。」
高階は小さく笑って肩を竦めた。世良は恥入ってしまいすみませんと謝るしか出来なかった。
しかし…紫陽花の事を言う気にはなれなかった。ただ何となく……二人だけの秘密にしておきたかった。
そして、結局自分は渡海の『お願い』は無理難題でも聞いてしまうのだ、きっと。
助け船を出してくれた高階には申し訳ないけれど、それは惚れてしまった弱みだった。

せっかくだから、と世良は高階の学会資料の整理の手伝いを申し出た。すぐに医局に戻るのも渡海に見つかった時に言い訳に苦しい。
しばらく高階といてから医局へと戻る途中、何気なく中庭を眺めると紫陽花が咲いていた。それは渡海の部屋に置いてあったのと同じ色だ。
花を置いた人はもしかしらたあそこから手折って来たのかもしれない。なんて考えていたら、そこへ一人の看護師がやって来た。同じ外科病棟のナースで、話はあまりしないが顔は見知っている、世良よりも年上の人だ。
彼女はじっと花を見つめている。もしかしたら…と世良は思った。

「あの…渡海先生の部屋に花を置いたのは……あなたですか?」
彼女は驚いて振り向いた。
「世良…先生……」
世良は中庭に出て、思わず声を掛けていた。
「なぜ…ご存じなんですか?」
彼女は否定しなかった。きっと潔いのだろう。
「先ほど渡海先生からお聞きしました。」
「まぁ…」
彼女は大きく目を見開いて驚きを示し、その後くすりと小さく笑った。
「渡海先生が他の方におっしゃるなんて…ちょっと意外でした。世良先生は信頼されてらっしゃるんですね、渡海先生に…」
「あ、いえ……」
とても本当の関係なんて言えないので、言葉を濁すしかなかった。
「なぜあんなことを?先生も不思議がっていました。」
「あら、そうでしたか。それも意外…気にも留めずにゴミ箱行きかと思ってましたから。」
不思議と言うのはちょっとした脚色だ。実際は迷惑そうだったがそれは言わない方が良いと世良は判断したが、彼女は何となく察しているようだ。

「私、退職するんです。あと二週間ほどでいなくなります。」
「……。」
「渡海先生に…少し……いえ、今更飾るのは良くないですね。私、渡海先生が好きでした。」
彼女は笑って言った。
「別に何があった訳でもありません。ただちょっとした優しさが素敵だと思っていました。……ごめんなさい、先生にこんなお話して。」
「あ、いえ。」
ここは年上の女性の貫禄勝ちだ。それに世良も興味があった…同じ人に恋する者として。
「でも思うだけ。とても先生の心には近付けない。何て言うか…踏み込めない領域があるのが怖い…そんな感じ。私には憧れるだけで精一杯でした。」
この年になっておかしいでしょ?とほろ苦い笑いをこぼす彼女を世良は見つめるしか出来ない。
「だから…近付けないのが悔しくて、憎らしくて。八つ当たりで紫陽花を置いてしまいました。」
「どういうことです?」
「紫陽花の花言葉はご存じですか?」
「えっと…移り気とか浮気とかじゃありませんか?」
「ええ、それもありますけど…他に高慢とか無情とか、貴方は美しいが冷淡、なんて言うのもあるんですって。」
「へぇ…知らなかったな。」
世良は素直に感心した。確かに高慢なんて渡海には合ってるかもしれない。
「今考えると恥ずかしい事をしてしまったわ。別に何も無かったのに、勝手に渡海先生に当たってしまって。」
「大丈夫ですよ、きっと。今頃はそれほど気にしてないと思います。いい加減な人だから。」
世良は何となく面倒くさそうにしている渡海を思い浮かべて笑いながら言った。
「世良先生は…よく理解されてるんですね、渡海先生の事を。」
「そう、ですか?」
「だって世良先生と一緒に話している時、渡海先生ってとても楽しそうですもの。」
彼女は少しだけ寂しそうな笑顔で一礼して去ってしまった。

今聞いた告白を渡海に話そうとは思わなかった。
彼女への配慮よりも、そうでない昏い気持ちの方が勝っていた。
たぶんそれは嫉妬…だろう。渡海の心に近付こうとする者に対する嫉妬と警戒。そして余裕ある大人の態度が悔しい。自分はいつも彼の一挙一動にやきもきして踊らされて、追いかけるだけで精一杯だ。


「よう…お前さん、女の好みは年上なのか?」
院内へ戻ると階段の踊り場で渡海に声を掛けられた。どうやら先ほどの現場をどこからか見ていたらしい。ニヤニヤと笑いながら揶揄する渡海に少しだけ苛立った。
「…浮気者って紫陽花でも投げつけますか?」
「はっ、お前がどんな女と付き合おうと俺には関係ねぇな。」
と渡海は鼻先で笑ったが、やはり世良にはそれが気に入らなかった。つかつかと歩み寄ってよれよれの白衣の襟元をぐっと両手で掴んだ。二人の顔が一気に近付く。
「…せん、せい……」
世良の声は自分も驚くほど頼りなかった。渡海はそれを聞いて一瞬疑問な顔つきになったが、また笑った。今度はほんの少しだけ優しい。
「…どうした世良ちゃん?」
「……。」
世良はそのままこつんと渡海の鎖骨あたりに頭を付けた。昼間の病院ですることではない。
「おい。」
渡海が少しだけ語気を強くすると、世良は素直に下がって小声で謝罪した。それでも
「今夜…部屋に行ってもいいですか?」
「…。」
「行くから…いて下さい。」
それだけ言うと小走りに医局の方へと戻ってしまい、その背中を渡海は不思議そうに眺めていた。



「…っ せん、せっ……」
「…っん」
「はぁ…… あ…」
その夜、世良は渡海の部屋にいた。部屋に入るなり、渡海をベッドへと押し倒し欲をぶつけた。
いつもの渡海なら拒むところだ。しかし今日は世良の好きにさせている。
激情が世良を狂わせている。それはもう言葉で静まるようなものではないのが分かっているので、渡海は身を委ねた。
渡海を抱く世良の顔はいつものような様子を伺う素振りは無く、必死にすがりつく子供のようにも見えるし、執着する雄の顔にも見える。
「あっ… …っ!」
「…うっ……」
渡海の中に埋められた世良の欲望がどろりと最奥で弾ける。一瞬の恍惚が二人の意識を白くした。

シャワーから出てくると、世良は枕に顔を埋めて横たわっていた。憑き物が落ちたみたい静まって部屋を訪れた時とは別人のようだ。
「…ちょっとは落ち着いたか?」
「先生……」
顔を上げるとバスタオルを腰に巻いただけの渡海が見下ろしていた。その胸や肩先には痛々しいほどの赤い痕が散っている。世良はつと目をそらせ布団を握りしめた。
「先生、すみ…」
「俺だって嫌ならお前の事くらい蹴り倒してるさ。」
渡海は言外に謝るな、気にするなと言っている。世良は先を絶たれてまた黙ってしまった。
渡海は窓辺で愛煙をふかし始め、そのまま外を見れば雨が降り出していた。

「俺…早く大人になりたい……です。」
「どうした、急に?」
一本吸い終わったところで渡海はいまだ起きようとしない世良の傍らに腰掛けた。
「早く…先生に見合う大人になりたい。」
その呟きに中に僅かながら悔しさが見え隠れしている。渡海は少し考えて、昼間に世良と話していたナースを思い出した。
「…昼間の女に何を言われたのか知らんが、慌てなくったって年は取るもんさ。」
「そうじゃなく」
「お前はお前のペースで年を重ねればいいだろ?背伸びしたって、結局はボロが出て恥をかくだけさ。」
「……。」
「第一、お前さんが急に大人びちまったら俺がつまらないだろうが。」
渡海は横たわったまま見上げる世良の頭をくしゃりとかき混ぜた。その顔は皮肉めいた笑いを見せながらもどこか優しかった。
世良はそれを読みとって…少しだけ涙腺が緩んだ。
「おいおい、ガキに泣かれるのはお断りだ。」
「! ガキじゃありませんし、泣いてませんから!」
世良は大いに強がって、涙がこぼれないよう涙腺を叱咤した。渡海もそれ以上は追求せず笑って誤魔化されてくれた。

この人は無情でも冷淡でもない。本当は信じられないくらい優しい人なんだ。優しすぎるから…壁を作るんだ、きっと。
そして誰にでも胸襟を開く訳じゃない。懐に飛び込む事さえ許されれば、その優しさが身に沁みる。

世良は今だけその優しさに甘えて、渡海に抱きついた。渡海は仕方ないように溜め息をつき、抱き返したりはしないが、それでもぽんぽんと頭を軽く叩くよう撫でた。

やっぱり…好きで好きで堪らない。
この人の厳しさも優しさも、すべてが好きだ。
一生…この人の事は心に刻んで忘れない。どんな些細なことだって覚えていたい。
今は俺からばかり求めるけれど、いつかきっと…先生から求められる、ふさわしい男になりたい。


紫陽花の花言葉……
『辛抱強い愛情』という言葉があるのを渡海はもちろん、世良も知らない。


おしまい

 


いろいろと着地点に迷走した結果が…何となく尻切れトンボ;;
渡海先生はね、いい加減で皮肉屋だけど……優しいんです、きっと。(マイドリーム……)
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