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愚痴外来の将軍×行灯推奨のSSブログです。たまに世良×渡海や天ジュノも登場。
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2025/07/06 (Sun) 19:45:48

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No.218
2011/06/01 (Wed) 16:37:26

今日から6月。今月が終わると今年も半分が終わっちゃうんですよ~!
月日の速さは恐ろしいものです。

今日の更新は、ついったーの方で流したミニ小話の詰め合わせです。
あっちは字数制限があるので、通常よりも短いです。

では以下からどうぞww

拍手[12回]





お題その1:「夕方のコンビニ」「逃げる」「目眩」

《学生しょうどん》

田口は珍しく真面目に講義に出て、その後図書館に寄って気になる本を漁る。気付けばもう日が傾いていた。ふらりと帰路に着き、コンビニに立ち寄った。
夕方のコンビニは近所の高校生で混んでたが、その中にすらりと容姿の良い男がひとり、雑誌をめくっていた。
――速水だった。
速水も気付いて近付こうとすると、田口は身を翻して逃げ出した。一瞬立ち尽くしたが、そこでぐずぐずするような男ではない。彼の後を追って猛然と走り出した。
逃げる田口は運動とは無縁。速水はあっという間に追い付いて、田口を捕獲した。
「放せっ!」
と田口は強がったものの、急停止を強いられたので目眩を起こして速水に抱き留められてしまった。

「おい、まだ怒ってるのか?!」
捕まえた田口をちかくの公園へと引っ張り込んで詰問する。
「誤解だって言っただろ?」
速水が宥めるように田口の肩に触れるが、田口は俯いたままだ。
先日部活を見に行った時、女子が速水に何か手紙らしきものを渡していた。それを速水が平然と受け取っていたのが気に入らなかったのだ。
結局それは何の色気もない、大学側から運動部への書類を手渡されただけのことだった。その女子が相手が速水だった為に照れてしまって、傍目から見ると妙な感じに見えてしまっただけなのだ。
「…そんなの……分かって‥る。」
「いや、分かってないな。」
「分かってるってっ!!」
田口は思わず堪えきれず大声になってしまい、速水は驚いた。

「分かってるんだよ。…でも……それでも嫌だった‥んだ。」
そしてそう思う自分自身がもっと嫌だった。速水を信じたいけど、何処かで信じ切れない嫉妬深い自分が溜まらなく嫌で。そんな自分を見られたくなくて、ここ数日は速水を避けていた。自分が恐ろしく醜い人間に見られそうだったから。
「…可愛いヤツだな、行灯は。」
速水は夕日が降り注ぐ中で田口を抱き締めた。
「ちょっ、放せ!明るいのに」
「お前は怒っても嫉妬しても可愛い。笑うのはもちろんだけど、泣いたって可愛いから。」
「……。」
「田口、大好き。」
田口はストレートな言葉と速水の香りに包み込まれて何も言えない。泣きたいくらいに幸せだった。




お題その2:「夜の遊園地」「笑い合う」「コーヒー」

人からもらった遊園地の招待券。夜の時間帯のみ入れるナイトパスと言うヤツらしい。なぜコレが田口のところへ流れ着いたのかは大いなる謎だが、取りあえずもらっておくことにした。そしてスケジュール帳を眺めて何かを確認すると外来を後にする。

夜の遊園地は意外と盛況だった。
「落ち着いた雰囲気だな。」
速水も初めてなので物珍しそうだ。誘った方の田口も休日のような混雑では無くてほっとしていた。ただ周囲は会社帰りらしいカップルが多い。田口がそう言うと速水に「俺達だって同じだろ?」と小声で言われ、「そうだな…」と密かに笑い合った。

学生時代ならいざ知れず、大人の男同士で乗れるアトラクションはまず無い。速水は乗りたそうだが、田口は恥ずかしいので断固拒否している。
「お前、何のために遊園地に来たんだよ?」
「お前と二人でゆっくり過ごすため。」
と田口がきっぱり言えば、今度は速水の方が照れてしまった。

ライトアップされた園内を見るだけでも結構楽しかった。しかし最後にカフェでコーヒーを頼むと
「これはイマイチ…だな。」
「って言うか、不味い。」
現実に引き戻されて苦笑した。
「そろそろ帰るか。」
「お前んとこに行って、美味いコーヒーが飲みたい。…明日の朝、な?」
「………ばぁか」



お題その3:「朝の密室」「キスをする」「雲」

速水が早朝の愚痴外来に滑り込み、そっと扉を閉めて鍵を掛けた。これで密室になり逢瀬に邪魔が入ることはない。奥のソファでは小さな寝息を立てて、田口がぐっすりと寝入っていた。相変わらずの穏やかな寝顔に速水は心が安らぐ。
「行灯、起きろよ。」
速水が愛しい恋人の頬をそっと撫でると、田口がうっすらと覚醒し始めた。この時の表情が無防備で可愛らしいと思うのは当然なのか、はたまた恋の欲目か。
「…は…や、み……?」
未だ夢から覚めないような顔の田口に、速水は思わず目覚めのキスをした。

「っ…んっ…」
いつもより少し強引なキスで田口はしっかり覚醒し、そして「このバカッ!」と速水の頭を叩くのも、「今日は一緒にいられるじゃないか。自制しろよ。」と文句を言うのも忘れなかった。今日は二人の夜勤明けと翌日の休暇が重なるという奇跡の日だった。

病院を出ると、青い空とうっすらと浮かぶ雲が眩しくも清々しい。
「さて、帰ったらまずは洗濯だな。」
「所帯染みたこと言うなよ。」
ふて腐れる速水が可笑しくて笑ってしまう。
「溜まってるんだから仕方ないだろ。」
「…でも明日も洗濯することになるぜ、きっと。」
速水がニヤリと笑う。
心当たりがあるのか今度は田口が渋面を作り、でも少し赤い顔をしながら小声で一言。
「……だから今日洗濯するんだ。俺んとこの物干しはたくさんは干せない…」

明日はきっとシーツを洗うハメになるのは分かっているようだ。
 

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