や、事後があまりにも短いので、それなら一気に出しちゃえ☆と言うのが真相です^^ヾ
連載はあと1回で終了。
今週中に出せればいいな。
では以下からどうぞw
拍手パチパチ、毎日ありがとうございますww 頑張ってますよ~!
Fall in love 6
【Side H】
久しぶりによく眠った。満ち足りた眠りだった。
そうだ…昨晩は……
俺はがばっと半身を起こした。
昨晩、俺は行灯と寝た。
もちろん互いに求め合った結果、男同士なんて承知の上で関係を結んだ。
しかし…
このベッドにアイツはいない。温もりすら残っていない。
一応家の中を確認したが、やはりいない。
夢なのか?―――しかし俺は覚えている。
アイツの細い身体の線。
すがりついた手の感触。
聞いたことのない切ない吐息と俺を呼ぶ声。
そして…互いの高ぶった欲の熱さ。
俺はすべて覚えている。
動くと肩と背中にピリッと痛みを感じた。ふと肩を見ると僅かだが歯形が残っている。背中はきっとミミズ腫れだろう。
それがアイツと情を交わした証だ。
「……ヤリ逃げかよ。」
不本意だ。非常に不本意だ。これじゃあまるで捨てられたみたいじゃないか!
「…まさか、な?」
俺は愕然とし、そして即座に思った。
アイツは昨夜の事を無かったことにするつもりだ。
それどころか、俺とは二度と会わない覚悟すらしているかもしれない。
このまま手をこまねいていれば、絶対にそうするだろう。
アイツはそれが出来る奴だ。
崖っぷちでの腹の据わり方は並じゃない。思いも寄らないところで潔さを発揮するんだ、アイツは。
「ふざけんなよ……」
呟いた声は、自分でも驚くほど怒気をはらんでいた。
俺は急いで身支度をして、部屋を飛び出す。スピードスターの二つ名は伊達じゃないんだ!
車に飛び乗り空港までをかっ飛ばす。警察に見つかったら一発で免停だろうが、今はそんなことはどうでもいいとさえ思う。
運良く何事もなく空港に着くと、車を飛び降り出発ロビーへ駆け込んだ。
しかし…
一足違いで飛行機は飛び立ってしまっていた。
「っ… くっそーっ!!」
北の玄関口で猛虎が一匹雄叫んだ。
【Side T】
―――どうしよう。……どうしよう。
俺は起きた瞬間、隣にある速水の寝顔を見て動揺し後悔した。
一時の激情に身を任せて、ギリギリで保っていた一線を越えてしまったなんて…。
熟睡している速水の顔は何ともいえず穏やかで、それが愛おしいと思うと同時に胸が詰まった。
布団からはみ出した肩に見えた痣みたいなのは…間違いなく俺が付けたんだろうな。
何てことをしてしまったんだろう……
ベッドをそっと抜け出して、見苦しくない最低限の姿を慌てて整え、静かに帰り支度を済ませる。
部屋を出る前にもう一度、速水の寝顔を見てしまうなんて…未練がましいのが我ながら情けない。
「―――じゃあな、速水。…さよなら。」
それだけ小声で呟いて、音を立てないよう部屋を後にした。
初めての行為で身体が悲鳴を上げそうなのを叱咤して、大通りでタクシーを捕まえて空港へ急ぐ。とにかく一刻も早く北から去りたかった。
もう会わせる顔がない。少なくとも今この時点ではとても会えない。
あと三年…。それまでに……気持ちの整理をつけなければならない。
忘れる事は出来ないだろう。それなら忘れたフリをし続けるだけだ。アイツが帰って来るまでの三年間、何もなかったと唱え続けるだけだ。
空港に着くとカウンターで手続きを済ませ、さっさと搭乗してしまう。
昨日の今日だから、あんなトラブルも起こらないだろう。
北は俺にとっては鬼門だ。仕事ででも避けたい方角になった。
そうこうしているうちに出発時刻になり、俺は無事に北の地から脱出した。